ドアが壊れたとき、ライアンはこう言いました。「じゃあ窓から出入りしよう」。
これがフィリピン人男性だ——と言いたいところですが、実はそう単純でもありません。

一言で言うと「陽気で家族思いで、ちょっと大雑把」——でも実際はそんな単純でもありません。
この記事では、フィリピン在住の日本人妻として観察してきたフィリピン人男性によく見られる特徴を整理しつつ、うちの夫ライアンとどう違うかを正直に比較してみます。
性格・社交面の特徴
明るく、とにかく楽観的
フィリピン人男性の第一印象として多くの外国人が挙げるのが「明るさ」です。冗談が好きで、初対面でもすぐ打ち解ける。社交性の高さは本当に群を抜いています。
その根底にあるのが「Bahala na(バハラ・ナ)」の精神。「なんとかなるさ」「神様にお任せ」というニュアンスで、楽観的に構えることを良しとする文化です。
こちらも合わせてどうぞ : 信仰と「Bahala Na」の精神
細かいことをくよくよ悩まないのは美点でもありますが、計画性のなさや手続きの遅れにつながることも……。
楽観的ではありますが、「時と場合によってBahala na」タイプ。
👉ドアがうまく開かなかったら「じゃあ窓から出入りしよう」とかいうし…。オーダーメイドのドアを作った話はこちら
「勝手な仮定をたてて悩んだところで、将来が変わるわけでもない。パニックに陥るのは一番良くない」といいます。
でも私が騒ぐので、最近は「なんとかなる」ではなく「なんとかしよう」という能動的なタイプになりました。
トラブルがあるとすぐ「一緒に解決しよう、僕らワンユニットだから」と動く人です。
仲間意識がとても強い
フィリピン人男性は仲間を非常に大切にします。友人・職場の同僚・近所の人たち——つながりの輪が広く、仲間をもてなしたり盛り上げたりすることに喜びを感じます。
飲み会・カラオケ・バスケ観戦……集まりの理由はなんでもいい。外国人から見ると「えっ、またそんなに盛り上がるの?」と思うくらいのテンションで楽しみます。困ったときも「喧嘩して家に帰れないから泊めてほしい」など、仲間を頼ることに遠慮がありません。
フレンドリーで人当たりはとてもいいのですが、群れるのはあまり好きではありません。「私と犬たちとの時間」を何より優先していて、誘いを断ることに罪悪感もない。フィリピン人男性の中ではかなり珍しいタイプだと思います。
恋愛・パートナーシップの特徴
ロマンチックで愛情表現がストレート
スペインやラテン文化の影響を受けているフィリピンでは、男性の愛情表現がとてもストレートです。
フィリピンには ハラナという伝統的な求愛の慣習があり、 その全力さはまさにフィリピン人男性らしさの象徴かもしれません。好きな女性の家の前でギターを弾いて歌う伝統的な求愛文化があるくらい、ロマンチックな気質があります。

「好き」「愛してる」を言葉でちゃんと伝えてくる。これは日本人の感覚からするとびっくりするほどです。
ライアンの場合: もうこれは極端なレベルでした。出会った翌日から「好きぃ〜ん、大好きぃぃぃ〜ん!!」と10〜30分おきにメッセージが届き、夜は10時から翌朝2時まで毎日電話。駆け引きゼロ。引くほどまっすぐでした。
いまでも愛情表現は変わらず続いています。
👉こちらもきになる!フィリピン人の恋愛観・実体験はこちら
嫉妬深い・プライドが高い面も
ロマンチックな反面、嫉妬深い人もいます。また「プライドが高くてなかなか謝れない」という声もよく聞きます。
小さな嘘をつくこともありますが、あまり上手ではなくすぐバレる——というのもあるあるです(笑)。
ライアンの場合: 嫉妬をしたところを見たことは、一回もありません。毎日ちいさなことでも「ごめんなさい」と謝ります。日本語はあまり得意じゃないですが、「ごめんなさい」だけは発音も綺麗に言えます。
生活習慣の特徴
お酒好き、集まると大胆になる
フィリピン人男性はお酒が好きな人が多く、特にビールは定番です。仲間と夜に集まって飲む文化が根強くあり、酔うと普段よりさらにテンションが上がります。「夜中に海に泳ぎに行く」みたいな大胆な行動に出ることも……。
バスケットボールも非常に人気で、週末に仲間と試合をするのもよく見られる光景です。
ライアンの場合: お酒がかなり弱いです。これはフィリピン人男性のステレオタイプとはかなり違います。夜に外出することもほぼなく、家で静かに過ごすのが好きなタイプ。
お金に関する傾向
予算管理が苦手な人が多い
給料が入るとすぐ使ってしまう、借金を比較的気軽にする——こうした傾向はフィリピン人男性によく聞かれます。「今を楽しむ」文化の裏返しでもあります。
ただし、中華系フィリピン人(チャイニーズ・フィリピノ)は金銭管理がしっかりしている場合が多く、一概にはいえません。
フィリピン人パートナーと結婚を考えている場合、お金の管理方法についてはかなり早い段階で話し合っておくことをおすすめします。
ライアンの場合: 浪費するタイプではありません。ただし、長期的な計画を立てるより「そのとき考えよう」というスタンスは少しあります。私の方が家計管理を主導しています。
健康・体型の傾向
30代から体型が変わりやすい
20代はスリムな人が多いのですが、30代くらいからビール腹になる人が目立ちます。食生活(揚げ物・肉・甘いもの中心)とお酒の影響が大きいようです。
歯科矯正(ブレース)をしている人は多いのですが、逆に口臭が強い人や、20代後半〜30代で奥歯が抜けている人も珍しくありません。歯のケアに関しては個人差が大きいです。
ライアンの場合: 食事が野菜中心なこともあって、体型は変わっていません。もともと肉や脂っこいものをあまり好まないので、フィリピン人男性の食生活とはだいぶ違います。
実は全然違う:社会階層によって「フィリピン人男性」は別の生き物
ここまで書いてきた「あるある」には、実は大きな前提が抜けています。
フィリピン人男性の特徴は、社会階層によってまったく違う。
フィリピンには貧困層・中間層・富裕層があり、それぞれ別の文化圏を生きています。富裕層には富裕層向けの雑誌や社交の場があり、ライフスタイルそのものが別世界です。
「家族を助ける」文化はどの層に多いか
仕送りのプレッシャー、パキキサマ(pakikisama)と呼ばれる「波風を立てない・仲間を助ける」文化——これらが特に強いのは、貧困層から中間層にかけてです。
金銭的な余裕がないと、家族や親族が互いに頼り合わざるをえない。助け合いは美しい文化ですが、「断れない」「NOと言うと関係が壊れる」という同調圧力になることもあります。逆に富裕層では、それぞれが自立しているぶん、家族の絆はあっても金銭的に依存し合う関係は薄くなっていく傾向があります。
一方で、この義理人情の厚さが年末のナマスコポ文化にも関わってきます。夫であるフィリピン人男性がどう対応するかは、家庭によってかなり違います。→ フィリピンのお年玉・ナマスコポ、夫婦でどう乗り越える?
ここをどうやって、外国人として向き合っていくかがとても重要になります。
結婚する前にどうやって折り合いをつけていくか?フィリピン人と結婚してうまくいく男性vsうまくいかない男性についての記事はこちらをどうぞ。
「ちょっと上」を見て疲れていく問題
ただし、お金があれば安泰かというと、そう単純でもありません。
上には上がいる。自分より少し上の人、もっと上の人を見て焦る——この競争がフィリピンでもかなり目立ちます。
ここに拍車をかけているのが、SNSの異常な普及度です。フィリピンは1日あたりのインターネット利用時間が世界トップクラスで、「世界のソーシャルメディアの首都」と呼ばれるほど。SNSの利用時間は日本人の約4倍以上にのぼります。
コミュニティとつながるため、海外で働く家族と連絡を取るため——そういう健全な理由もあります。でも同時に、「見せびらかしたい」「羨ましいと思われたい」という動機もSNS文化の裏にある、と感じています。新車、旅行、外食、子どもの学校……。リアルな生活とは少しかけ離れた「見せたい自分」を投稿し続ける疲弊感は、フィリピン社会のあちこちにあります。
ライアンの場合:
SNSはほぼやりません。Facebookのアカウントはありますが、投稿はほぼゼロ。「見せびらかしに興味がない」というより、「そもそも他人の評価にあまり関心がない」タイプです。私からすると、フィリピンでもかなり珍しい部類だと思います。
「バキヤ」と「ジェジェモン」——チグハグな成金文化
フィリピンで暮らしていると、頻繁に耳にする言葉があります。
Bakya(バキヤ)とJejeamon(ジェジェモン)。
どちらも「ダサい」というニュアンスで使われることが多いのですが、単なる「センスが悪い」とは少し違います。日本語で近いのは「成金趣味」という言葉かもしれません。
急にお金を持つようになったとき、豊かな暮らしを「見せたい」という気持ちが先走って、センスや立ち居振る舞いがまったくついてきていない——そういう状態のことです。
よく見る光景としては:
- 海外旅行などを見せびらかすくせに、プラスチックごみを平気で庭で燃やす
- 家を建てたけど、全く合わないシャンデリアなどをぶら下げている
- ブランド服を着ているけれど、マナーや話し方にそれが全然反映されていない
- 場の雰囲気に合わないところにブランド品を持ち込んで、とにかくインスタに載せることを考える
お金は持った。でも、長年培われてきた文化的な背景や振る舞いは、そう簡単には変わらない。全部は隠せないんですよね。
これはネガティブな話に聞こえるかもしれませんが、フィリピンで暮らしているとよく見る、確かな現実のひとつです。前のセクションで触れた「ちょっと上を見て焦る」という心理と、根っこはつながっています。
ジェジェモンはもともと、独特のスラングや文字の崩し方をする若者文化を指す言葉でしたが、今では「ヤンキーっぽい・教養がない感じ」というニュアンスで広く使われています。
ちなみにバキヤの対義語はソシャル(sosyal)。「social」から来た言葉で、上流っぽい振る舞い・洗練された雰囲気を指します。バキヤとソシャルは、フィリピン社会のカルチャー的な両極と言えるかもしれません。
ライアンの場合:
「バキヤな人のことどう思う?」と聞いたら、こう返ってきました。
「好きでも嫌いでもないよ。ただそれが彼らのスタイルってだけで。バキヤも、ソシャルも、いうなら人種みたいなものだから。ただ僕はどちらでもないってだけ。」
見下すわけでも、羨むわけでもない。ただ淡々と「そういうものだ」と受け取れる人です。この言葉、なんか好きなんですよね。
なぜライアンは「あるある」からこんなに外れているのか
バキヤでもソシャルでもなく、SNSに興味もなく、時間に厳しく、群れない——ここまで読んで「なんでこの人はこうなの?」と思った方もいると思います。
それには、育ちの背景があります。
いろんな「層」の暮らしを子どもの頃に全部見てきた
ライアンは幼い頃から、さまざまな家庭を転々としながら育ちました。
バタンガスで中規模のコミュニティを運営する教組の叔母の下で暮らした時期もあれば、裕福な友人たちやスケートボードの仲間たちと過ごした時期も。弁護士、医者、政治家——もともと貧しかったのにメディアを経てカインタの市長にまで上り詰めた人のそばで暮らしたこともあります。
社会のいろんな階層を、頭で知るのではなく、身をもって体験してきた。
さらに、ライアンの両親はもともと裕福な家柄の「オールドリッチ」。しかし子どもたちがその財産を管理しきれず、徐々に落ちぶれていった——そのギャップも間近で見て育ちました。成金文化とも、旧来の上流意識とも、少し距離を置いた目線が自然に育ったのだと思います。
そのライアン、家を建てるときにも、豊かな感性を活かし、本領を発揮しました。
→歴史香るタイルをデザインしてつくった話はこちら
日本文化への早すぎる関心
まだフィリピンで日本のポピュラリティが今ほどなかった時代——マルコス政権後に放映された日本のアニメを「中国のものだ」と思う人が多かった頃——に、ライアンはすでに日本文化に憧れて自分で勉強していました。
そこで知ったのは、日本の良さだけではありません。私たち日本人が持っている「人に優しくない雰囲気」の部分も含めて、日本とフィリピンの良いところ・悪いところを早い段階で理解していた。
私と暮らすようになってさらにそこが磨かれた部分もあると思いますが、その素地は最初からあったものです。
ライアンは英語教師として長年働いてきましたが、その背景にはTESOL取得という経緯があります。それぞれ違うバックグラウンドの人たちと接するのが上手なのは、そんな小さな頃からの経験がいきているのかな、と思います。
こちらもよみたい:フィリピン人英語教師から見た日本人の英語
「フィリピン人だから」という垣根がない
フィリピン人の中には、日本やアメリカなどいわゆるfirst world countriesに対して、プライドと引け目が同居している人が少なくありません。誇りたい気持ちと、劣等感がせめぎ合っている。
ライアンはその点、バランスが取れています。
日本人だから、フィリピン人だから、何人だから——そういう国籍の垣根を、他の人より自然に越えられる人です。それはたぶん、子どもの頃からさまざまな「層」の人たちの暮らしを実際に見てきたからこそ、身についたものなんだと思っています。
まとめ:「フィリピン人男性」はひとくくりにできない
一般的な傾向としては、明るく・社交的で・家族思い・ロマンチック。その半面、お金の管理が苦手だったり、プライドが高かったり、お酒が入ると大胆になったりする面も。
でも結局のところ、「フィリピン人男性だから〇〇」という一般論はあまりあてにならないというのが、10年以上暮らしてきた実感です。
ライアンは「フィリピン人男性あるある」からはずれている部分がかなり多い。時間厳守・お酒が弱い・群れない・家族より夫婦の時間優先——これだけ揃うとかなりレアなセットです。
大事なのは、相手が「どんな国籍か」より「どんな人か」。それを知るための時間と対話を、付き合い始めからたっぷりとることをおすすめします。
👉 あわせて読みたい:フィリピン人との結婚は大変?仕送り・手続き・文化の違いを経験者がリアルに語る

フィリピン(海外生活・情報)ランキング
にほんブログ村
