「メリークリスマス!」
え、早すぎる?
フィリピンに住んでいると、9月1日からクリスマスシーズンが始まるんです。
私自身、フィリピンの会社に勤めていた頃、9月1日の朝に同僚から「ハッピークリスマス!」とメッセージをもらい、冷房ガンガンのオフィスで鳥肌が立ったことを今でも覚えています。
しかも、移住して間もない頃には、6月のショッピングモールで巨大クリスマスツリーを目撃。
「もう始まってるの!?」と心底驚きました。
フィリピンのクリスマスは、実際には 7月から翌年1月まで続く“世界最長のシーズン”。
ではなぜ、ここまで長いのか? 宗教・文化・商業の背景を整理してみましょう。
この文化は、フィリピンの長いクリスマスシーズンと深く関係しています。
→ フィリピンのクリスマスはなぜ世界一長い?

フィリピンのクリスマスが長い理由
ネットを調べると1980年代以降、テレビやラジオで「クリスマスソングは9月から流れる」ことが一般的になったとありますが、我が夫君・ライアン(1987年生まれ)によると、
フィリピンのクリスマスが9月から12月末まで行われるようになったのは2000年ごろからだったと思うよ、とのこと。
僕が小さい時は9月なんてなんのクリスマス臭もなかった
1. 「BER months」文化
フィリピンでは、September〜December(BERで終わる月)を「BER months(バーマンス)」と呼びます。
基本フィリピンでも冷える時期に入るので、唯一「クリスマスっぽい季節」を感じられるため、その象徴になっているんです。
2. 宗教的背景|フィリピン独自の「シンガン・ガビ」(夜明けの9日間ミサ)
16世紀スペイン統治時代、農民が日の出前にミサに参加できるよう始まった「シンバン・ガビ」。
12月16日からクリスマスイブまで連続9回の早朝ミサを終えると願いが叶うと信じられ、今も続いています。
時は1600年代。スペイン統治時代。
早起きをしなければならなない農民たちのために、修道士たちが12月16日から日の出前にミサを行うことで彼らを出席できるようにした、というもの。
夜に教会に行くという予定の合間に、若いカップルがロマンチックな時間を過ごす格好の理由にもなるわけです。
これがクリスマスの早めのお祝いに寄与する歴史的背景の一つにもなっています。
スペインがフィリピンに残したものは、クリスマス文化だけではありません。
床や壁に今も生きているものがあります。
3. 海外出稼ぎ労働者(OFW)の帰国
フィリピンの9月クリスマスは商業戦略だった?
フィリピンでは、9月に入るとすぐにショッピングモールがクリスマス装飾を開始します。
特にSMモールをはじめとする大手は、BER months(SeptemBER〜DecemBER)の始まりと同時に一斉にデコレーションを展開。
その主なターゲットは、年末に帰国する フィリピン人海外出稼ぎ労働者(OFW) です。
彼らは中東やアメリカで稼いだ収入を持ち帰り、家族へのプレゼントや高価な買い物に惜しみなく使います。
まさに“本物のサンタクロース”のような存在。
こうして9月以降のモールは連日大混雑。
「平均月収2万ペソの国で、なぜこんなに消費が活発なのか?」と、私も最初は驚きました。
でも実際は、“買い物=クリスマス準備”という国民の習慣と企業の戦略が見事に結びついた結果だったのです。
4. 商業的戦略|ショッピングモールの仕掛け
9月のクリスマスは完全にマーケティング戦略
SMをはじめ大手モールは、「BER months」突入と同時にいち早くクリスマス装飾を展開します。
そのターゲットは主に、年末に帰国する海外出稼ぎ労働者(OFW)。
彼らはアメリカや中東で稼いだ大きな収入を家族に還元するため、帰国すると豪快に買い物をする“本物のサンタクロース”のような存在です。
結果として、9月以降のショッピングモールは常に人でごった返し、街全体がホリデームードに。
「発展途上国でなぜこれほど消費が活発なのか?」と思わせるほどですが、これは “買い物=クリスマス準備”という習慣を企業が上手く結びつけた戦略の成果でもあるのです。
フィリピンのクリスマスが“世界最長”といわれる理由
世界最長シーズンの実際の流れ
スーパー・モールにツリーや飾りが並び始める
ホセ・マリ・チャンの歌が流れ、本格シーズン突入
シンバン・ガビ(9日間の早朝ミサ)
クリスマス本番(家族イベントのピーク)
新年のお祝いと一体化
三賢者の日(エピファニー、公現祭)
ブラックナザレ祭(キアポ教会)で一区切り
→ 合計すると約7か月近く「クリスマスシーズン」が続きます。
このように、実質7か月近く「ホリデーシーズン」が続くのは世界的にもフィリピンだけ。宗教行事と商業イベントが組み合わさり、長大な“クリスマス文化”が出来上がっているのです。
1月6日:三賢者の日(Epiphany / Feast of the Three Kings)
- 公現祭(エピファニー)は、東方の三博士(Three Kings)が幼子イエスに贈り物を届けた日を記念する祭り。
- カトリック圏ではクリスマスシーズンの締めくくりとされることが多い。
- フィリピンでもこの日までは「まだクリスマス」としてツリーやデコレーションを飾ったままにする家庭が多い。
1月9日:ブラック・ナザレ祭(Feast of the Black Nazarene)
- マニラのキアポ教会で行われる大規模なカトリック行事。
- 黒いキリスト像(ブラック・ナザレ)を担いで街を練り歩く「Traslacion(行列)」が有名。
- 数百万人の信者が参加し、信仰と祈りを捧げる壮大な祭り。
- クリスマスと新年の宗教行事の延長線上にあり、「フィリピンのホリデーシーズンは1月上旬まで続く」と言われる大きな理由のひとつ。
他国との比較(日本・欧米との違い)
| 国・地域 | 期間 | 特徴 | 商業面の特徴 |
|---|---|---|---|
| 🇵🇭 フィリピン | 7月〜翌年1月9日 | 世界最長、シンバン・ガビ・パロル・宗教+家族行事が濃厚 | SMモールなどが9月から装飾・セール開始 |
| 🇯🇵 日本 | 12月初旬〜25日 | 恋人や友人中心、商業イベント色が強い | ケーキ・チキン・ギフト需要、25日で完全終了 |
| 🇺🇸 アメリカ | 11月末〜12月25日(〜1月1日) | 感謝祭後に開始、家族行事が中心 | ブラックフライデー起点の巨大商戦 |
| 🇪🇺 欧州 | 12月初旬〜1月6日 | アドベントや公現祭まで続く | クリスマスマーケットが観光資源に |
フィリピンのクリスマスは、精神状態はどのくらい影響がある?
クリスマスが長すぎるフィリピン。実は「精神的にいいの?悪いの?」という議論もあります。
臨床心理士のリンダ・ブレア氏によると、「延々と流れるお祝いソングって、正直メンタルが消耗する」と語っています。同じ音楽を繰り返し聴くと脳が飽和し不快に感じる「単純接触効果」が働き、クリスマスソングの聞きすぎはストレスになるのだそう。たしかに、私もMRTアヤラ駅で9月から延々と流れるジングルに「うわ、またか…」と思ったことがありました。
一方で、フィリピン人の社会学者であるクリフォード・ソリタ氏は「9月16日から始まる100日間のカウントダウンは、不安を和らげタスク管理にも役立つ」とポジティブに解説しています。要は「長い分、少しずつ準備ができて気持ちが楽になる」という考え方。
さらに、FM局などでは24時間クリスマスソングが流れ、街もモールもご近所もお祝いムード一色。買い物や親戚づきあいに追われてストレスどころか「休む暇がない」のがフィリピン流かもしれません。
🎄私が好きなフィリピンのクリスマス・スピリッツ❤️
🪅手作りのオーナメント:貧困層のクリスマス飾りは美しい
こちらは貧困層の人たちが作るオーナメント。

このお家はもう取り壊されて、この家族も今はどこにいるかはわからない。

クリスマスはみんな平等にやってくる。それを最大限かつユニークに表しているのはいつも予算がない人たち。
彼らのクリエイティブ魂、そして「全身全霊で楽しもう」というスピリットは本当に美しいと思う。
街中には、煌びやかなクリスマスオーナメントが売られているけれど、買い求めるのが難しい人たちも多いです。
一般の先進国で生まれ育った人たちなら、「お金がない」事に気を取られてお祭り気分にはなれなかったりしますが、彼らはゴミの中から使えそうなものを拾って素敵なオーナメントにしちゃうんです。
🌴🥥ココナッツの殻を使って作られたクリスマスツリー🌲⭐️
こちらは、私が住むアマデオの自治体が作った手作りツリー。
ココナッツの殻で作られたツリーなんです!
よく見ないとツリーには見えないですが…でもこの発想はすごい。
一見するとただの茶色い木片の集合体。
でも、よく目を凝らしてみると……
そこには、ココナッツの殻だけで作られた素朴で温かいクリスマスツリーが立っています。
ココナッツの殻は、乾燥すると驚くほど硬くて丈夫。
それを一枚、一枚、丁寧に重ねてツリーの形を作っていく。
南国の暮らしから生まれた、自然素材100%のエコ・デザインです。
クリスマスが終わったら、土に還っていく。
全然クリスマスツリーの概念から程遠く、素朴で少しギョッとするかもしれません。が、だからこそ美しい。
「見た目の豪華さじゃなくて、身近なものを使ってお祝いしたい!」
それを大切にしているような、静かな存在感があります。
まとめ:お金はかかるけどやっぱり楽しい
- フィリピンのクリスマスが6か月以上続くのは、宗教+家族+商業の要素が融合した結果
- フィリピンのクリスマスは“心を癒す”のか“疲れさせる”のかはあなた次第。でも、この圧倒的な熱量を一度体験すれば、きっと忘れられない思い出になるはずです。

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