フィリピンで結婚する手続きの流れ|初婚と再婚でここまで違う

フィリピンで結婚する手続きの流れ|初婚と再婚でここまで違う
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ライアンが何度マニラ市役所を往復したか、今でも正確には覚えていません。

当時私たちはマカティに住んでいました。結婚式は、ライアンのおじさんが執り行ってくれることになりました。彼は弁護士であり、神父でもある——そしてフィリピンのテコンドーチャンピオンでもある、という人物でした。なかなかいません、そういう人。

結婚式はお祝いに無料でやってくれることになりましたが、その前に立ちはだかったのが書類の手続きでした。ライアンが当時勤めていたのがマニラ市役所だったこともあり、彼が自分で走り回ってくれることになりました。

目次

ワンストップで完結しない事務手続き

フィリピンの行政手続きというのは、なぜかワンストップで完結しない。「このサインをもらいに8階のオフィスへ行ってきて」「戻ってきたら向かいの建物3階へ」「そこが終わったら最上階でコピーして」「あ、ごめんこれもコピー必要だった」——という具合に、たらい回しが延々と続きます。馬鹿にされてるんじゃないかと思うくらいに。結婚手続きも、同じようなものでした。

その手続き中、おじさんはライアンに向かって、碇ゲンドウのポーズで言ったそうです。「理想的な結婚とは何か、語ってみろ」と。自分は結婚に失敗してアナウルメントをしているのに。

アナウルメント(Annulment/婚姻無効)

「その結婚は最初から無効だった」と裁判で認めてもらう手続きです。フィリピンでは離婚制度が基本的にないため、再婚するにはこの手続きを経て、前の結婚を法的に無効にする必要があります。

ライアンは何かうまいこと答えたらしいのですが、あまりの暑さと疲労とで、何を言ったか本人も覚えていないそうです。

結論:どの国に住むか、初婚かどうかで手続きが変わる

フィリピン人と結婚するとき、手続きってどのくらい大変なんだろう?と気になっている方は多いと思います。結論から言うと、状況によってかなり違います。初婚か再婚か、どこで暮らすか、どちらの国の書類が絡むか——この組み合わせで、手続きの重さがまるで変わってくる。

私自身の経験と、身近なカップルのケースを比べてみると、その差がよくわかります。なお、私たちの馴れ初めや結婚を選んだ経緯についてはこちらの記事にまとめています。


フィリピンでの結婚手続き——基本の流れ

そんな私たちの経験も含めて、フィリピンでの結婚手続きの流れを整理しておきます。大きくはこの5ステップです。

STEP

婚姻要件具備証明書の取得(日本人側)

まず日本人側が、在フィリピン日本大使館(マニラ・セブなど)で「婚姻要件具備証明書」を取得します。戸籍謄本とパスポートが必要で、「独身で結婚できる状態です」という証明書になります。外国人はこれがないと結婚手続きを進められません。

STEP

Marriage License(婚姻許可証)の取得

次に、フィリピン人側の居住地の市役所(Local Civil Registrar)でMarriage Licenseを申請します。フィリピン人側はPSAの出生証明書やCENOMAR(独身証明)などを用意します。申請後は10日間の公示期間があり、問題がなければ発行されます。有効期限は120日で、この間に挙式を済ませる必要があります。

STEP

挙式

Marriage Licenseを持って、教会・市役所・裁判所などで挙式を行います。フィリピンでは「挙式をもって婚姻成立」です。日本のように書類を出すだけでは成立しません。

なお、フィリピンで結婚する前には婚前セミナー(Pre-Marriage Seminar)の受講が義務づけられています

STEP

婚姻証明書の取得

挙式後、PSAから正式な婚姻証明書(Marriage Certificate)が発行されます。これが結婚の正式な証明書になります。

STEP

日本への届出

フィリピンで結婚しても、日本に届出をしないと日本では未婚扱いのままです。婚姻証明書の翻訳を添えて、日本の役所または日本大使館に婚姻届を提出します。

必要書類の詳細は申請する市役所や状況によって異なります。最新情報は在フィリピン日本国大使館の公式サイトでご確認ください。


日本で暮らすことを考えたとき——札幌の入管へ凸してみた

私たちはフィリピンに住み続けることを選びましたが、一度だけ日本で暮らすことを考えたことがあります。一時帰国のタイミングで、2人で札幌にある出入国在留管理局に問い合わせに行きました。

担当の方からは、「数年間、誰の助けも借りずに暮らしていけるくらいの貯金があれば大丈夫。あと旦那の仕事が見つかれば問題ない」という説明でした。当時の感覚では300万円ほどが目安として出てきて、思っていたよりずっとあっさりした説明でした。

ただ、その担当のおじさんが最後に

「日本は子ども不足だからな!今晩からでもいい、旦那の尻を叩いて子作りがんばれ」

…といい、ライアンに向き直って、

トゥナイト!キッズ!ファイト!

と、ガッツポーズをみせていらっしゃったのが、妙に印象に残っています。

今の入管もあんなにユルい感じなんだろうか…。

結局、私たちは日本に移住しませんでした。でもあの日入管に行ってみたことで、「選択肢のひとつとして考えられる」という感覚は持てました。

⚠️ これは2017年に問い合わせた際の話です。現在の手続きや必要書類は変わっている可能性が高いので、詳細は出入国在留管理庁か行政書士に直接確認することをおすすめします。


知人カップルのケース——離婚歴あり、日本で暮らす予定の場合

一方で、私が書類の翻訳を手伝ったことがある知人カップルは、状況がまったく違いました。

日本人側に離婚歴があり、さらに日本で一緒に暮らす予定だったため、配偶者ビザの申請が必要でした。フィリピン人女性はすでに日本に住んでいたので、在留資格の変更という形になります。

準備していた書類の量が、私たちとは比べものにならなかったです。追加で、あれもこれもと書類が私の手元にやってくる。翻訳を手伝いながら横で見ていて、こんな書類が必要なんだと驚いた記憶があります。

2人の関係を証明するための書類

  • 一緒に写っている写真(時系列で複数)
  • LINEやMessengerのチャット履歴
  • 交際の経緯・出会いから結婚に至るまでの説明書類

身元保証関連

  • 身元保証書(夫となる人物の父親が保証人)
  • 保証人、夫の収入証明・納税証明

離婚歴に関する書類

  • 前の婚姻が終了していることを証明する書類
  • アポスティーユ(海外で使う公文書の真正性を証明する国際認証)が必要な書類も含まれていました

書類そのものの量もさることながら、言葉の壁があったため、説明のための資料づくりにもかなり時間がかかっていた印象です。

「結婚の手続き」というより、「この2人が本物の夫婦であることを証明するための作業」という感じでした。

なお、フィリピン人同士では離婚制度がありません。フィリピン人との婚姻関係を終わらせたい場合の法的な選択肢についてはこちらの記事にまとめています。また離婚後の13Aビザについてはこちらをご覧ください。

結局、何が手続きの重さを決めるのか

2つのケースを比べてみると、手続きの大変さを決める要素がいくつか見えてきます。

  • 初婚か、再婚か。
    • 離婚歴があると、前の結婚が完全に終わっていることの証明が必要になります。特にフィリピンは離婚が法律上認められていない国なので、フィリピン人側に離婚歴がある場合はさらに複雑になります。
  • どこで暮らすか。
    • フィリピンで暮らすのか、日本で暮らすのかによって、必要な手続きがまるごと変わります。日本で暮らす場合は、フィリピンでの結婚手続きに加えて、日本の配偶者ビザの申請が別途必要になります。
  • 言葉の壁があるか。
    • 2人のコミュニケーション手段や交際の経緯は、ビザ審査で確認されるポイントのひとつです。言葉の壁がある場合、関係を説明するための資料が増える傾向があります。

フィリピンでの結婚手続き自体は、条件が整っていればそこまで複雑ではありません。ただし、離婚歴や居住国が絡んでくると、一気に別の話になります。自分たちの状況がどのパターンに近いかを早めに把握しておくことが、いちばんの近道だと思います。

フィリピンと日本の国際結婚にまつわる文化・宗教・お金・ビザなど、テーマ別の記事はこちらの結婚まとめページからご覧いただけます。

余談ですが、もし将来私たちが関係を証明する書類を求められることがあったら、このブログを見せてやればいいんじゃないかと思っています。何年分ものライアンとの生活が詰まっているので、どんな書類よりも雄弁かもしれません。

Kumiko Sato
✍ Author
Kumiko Sato

フィリピン在住の日本人ブロガー。文化・食・日常生活をテーマに、日本とフィリピンのあいだにある歴史や文化のつながりを紹介しています。
フィリピン人の夫とカビテ州アマデオで暮らしながら、海外生活のリアルを記録しています。

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