フィリピンに住んでいると、フィリピン人の恋愛観に驚かされることが何度もあります。日本人の感覚からすると「え、それって重くない?」と思うようなことが、ここではごく当たり前だったり。
今回は、フィリピン人の夫ライアンとの13年以上の結婚生活をもとに、よく聞かれる「フィリピン人の恋愛あるある」を一つひとつ紐解いていきます。
Q. フィリピン人の恋愛って、重いって本当ですか?
「重い」かどうかは、どの文化のメガネで見るかによると思います。実際どうなのか、ライアンに聞いてみました。
私: フィリピン人の恋愛って、日本人からすると「重い」って感じる人も多いと思うんだけど、実際どうなの?
ライアン: 重いっていうか……Cheesyなんだよ(笑)。ベタベタするされるのはもうデフォルトだし、それが普通。トキシックレベルだって思う人もいるかもしれないけど、フィリピン人の女性はそうは感じない人が多い。それがスタンダードだから。
なるほど。「重い」のではなく、これがふつうの温度感なんですよね。スペインの影響を強く受けたフィリピンでは、ラテン的な感情表現の豊かさが文化に根づいています。感情をストレートに出すことが愛情の証であり、むしろ何も言わない・しない方が「冷たい人」と思われてしまいます。
Q.「愛してる」を一日に何度も言うって本当ですか?
本当です。私、一度数えたことがあります。
ライアンが一日に「愛してる」と言う回数——平均3〜4回。しかもタガログ語、英語、日本語とローテーションしながら。さらに「一緒に暮らせて嬉しい」「僕はくみのために生きてる」「寝る前に、今日くみがしてくれたことが嬉しかった」「明日また起きて1日をスタートさせるのが楽しみだ」なんてことまで、さらっと言ってきます。「可愛い」「きれい」も1日のうちに2〜3回は言う。
最初のころ、私はそれに「ありがとう」と返したり、あまりにも頻度が高いので「ははは……」と笑って誤魔化していたんです。
そしたら夜、寝る前になって——
「……僕のこと、愛してないんだ。もうあまりにも僕がベタベタするから、飽きたんだね。僕はもう生きている意味がない」
しくしく泣き出しました。え、そこまで?!と思いましたが、続けてこう言われました。
ライアン: 日本にはそういう文化がないってことは知ってるよ。でも僕はフィリピンに生まれ育ったし、もっと表現してほしい。僕は無理なお願いは一切してないと信じてる。っていうか、して!!
…して、と言われたら、するしかありません。
最初は正直、面倒に思っていました。
わかってることじゃないの。そこまで私は信用がないのか。
そう思っていた時期もあります。でも、ある時ふと気づいたんです。愛情表現を「面倒だ」と思うこと自体、よく考えたらおかしな話じゃないか、と。
「ありがとう」「ごめんね」は、何も考えずに言えるじゃないですか。「愛してる」も、同じレベルで表現すべきことなんじゃないか。
うちは犬を5匹飼っています。ご飯をあげたり、散歩に連れ出したり、病院に連れて行くのは当たり前。でもそれだけじゃなくて、撫でたり、話しかけたり、一緒に寝たりすることも同じくらい大事だったりする。パートナーとも、そうあるべきなんじゃないかと思うようになりました。
今では特に何もなくても「愛してるよ」と言えるようになったし、スキンシップも自然にするようになりました。ライアンに変えてもらったのか、自分が気づいたのか——たぶん両方です。
ギフトや食事よりも、「今日もきれいだよ」「大好きだよ」の一言の方が大事——というのがフィリピン流。言葉を惜しまない文化です。
Q. 嫉妬深いというのは本当ですか?
ライアン: 傾向としてはあると思う。他のカルチャーより強い感じがする。でもそれって、それだけ相手のことを真剣に思ってるってことでもあるから。コントロールしたいわけじゃなくて、大切だから気になる、っていう感じかな。
いやいやいや…それはあなただけの話じゃないですか?
嫉妬深いです。特にフィリピーナの嫉妬はすごいと思う!
前に、職場の上司だったヨーロッパ人の家に招かれて行った時、私がうっかりお土産でぬいぐるみをもらった話を彼のおくさんにしたんです。すると目の色が変わって「それは知らない話だね。どういう状況だったの」ってといかけてきたんです。
アホな私はその空気が変わったのを気が付かずにいたんですが、旦那がうまくフォローしてくれました。
そのあと、「気をつけないとダメだよ。ぬいぐるみもらったとかはほんとNG!」
注:フィリピンではバレンタインなどのイベントで男の子からぬいぐるみをプレゼントされる習慣あり
愛情が深い分、失うことへの不安も大きい——これもフィリピン人の恋愛の一面かもしれません。
Q. 彼女の友達の集まりにも彼氏が来るって本当ですか?
これはもう、常にそうです。今となっては2人共通の友人しかいないくらい、誰かと会うときは必ず2人で行きます。
一度、北海道に里帰りしたとき、以前教えていた絵画教室の生徒さんと会うことになりました。そのとき私はごく自然に「うちの旦那も連れていっていい?」と聞いたんです。
返ってきたのは「……なんで?」という、きょとんとした一言。
そうか、日本では文化が違うのだった。逆カルチャーショックでした。
今では1人で行動すること自体が滅多になくなりました。べったりしていることが愛情の証——そういう文化なので、距離を置くことの方が「冷たい」と受け取られることもあります。2人1組が私たちのデフォルトです。
Q. ジェントルマンじゃないといけないって本当ですか?
求められます。手を必ず引いてくれること、道路では車道側をライアンが歩くこと——これはいつものこと。スペイン植民地時代から続く文化で、男性がパートナーを守り気遣うことが当然とされています。
でも一番おかしかったのは、車の交通量がすごい道を、横断歩道も何もないところを「エスコート」して渡ろうとしたときです。
手をグイグイ引っ張りながら、車が向かってくる中へ突進していくライアン。
私: 「ちょっと待ってよ!めっちゃ車向かってきてるじゃん、ギャー!!!!」
ライアン: 「大丈夫、アギナルドハイウェイで僕が身につけた技術だからきちんと渡れる」
アギナルドハイウェイ:カビテ州をぶった斬る主要道路。交通量が多く、道を横断し損ねて死亡することもしばしば。
エスコートされながら、死ぬかと思いました。
ジェントルマンの精神は本物です。ただ、安全かどうかはまた別の話です。
Q. ハラナって何ですか?今もやっているんですか?
ハラナとは、好きな女性の家の前でギターを弾きながら歌を贈るフィリピンの求愛文化。ロマンティックな慣習です。
私: 今の時代もハラナってやる人いるの?
ライアン: さすがにそのままやる人はほぼいないけど(笑)、スピリット自体は残ってると思う。だからクリエイティブになるんだよ。サプライズを考えたり、特別な演出をしたり。とにかくCheesyなんだよね、フィリピンの恋愛って。
ライアンにCheesyなことをされた経験は?と聞かれたら、「いつもです」としか答えられません。日本人からしたら「歯が浮く」ようなことを、フィリピン人はごく普通にさらっと言えてしまう。最初はこそばゆくて笑って誤魔化していた私も、今ではすっかり慣れて、それが日常になりました。
特別な演出がなくても、毎日がすこしCheesy。それがフィリピン流なのかもしれません。
Q. 結婚したら義父母を「ママ」「パパ」と呼ぶって本当ですか?
本当です。しかも結婚前から、血縁のない親戚もTito(ティト)、Tita(ティタ)と呼ぶ習慣があります。
結婚前、義母・スーインにこう言われたことを覚えています。
義母:
「あなたはまだ結婚してないから、ママじゃなくてティタって呼びなさいね。ジョセフのことはティト。パパはまだ早いわ」
おっとりとした口調で、やさしく教えてくれました。
でも、ライアンと長く一緒に暮らし始めてから、いつの間にかママ、パパと呼んでいた気がします。境界線がどこだったか、もうはっきり覚えていないくらい。それだけ自然に家族の一員として迎えてもらえたのかもしれません。
また、結婚を意識し始めたら、まず友人に、次に家族に紹介するというステップを大切にする文化があります。
ライアン: 家族に紹介するのはかなり大事なステップ。それができてないなら、まだ本気じゃないってこと
「家族に迎え入れる」意識がとても強い文化で、パートナーの友人・家族ぐるみで関係を築いていくのがフィリピン流です。
正式に「パパ&ママ」と呼べるようになるまで、以下の峠が待ち構えています。
まとめ:「フィリピン人の恋愛」ではなく、「ライアンとの幸せな生活」
ここまでいろいろ書いてきましたが、最後に一つ正直なことを言わせてください。
私、国際結婚という意識をあまりしたことがないんです。
フィリピン人といっても人それぞれだし、ライアンは特にひっつき虫な方だと思います。むしろ日本人同士の方が、どう接したらいいかわからないことが多かったくらいで。文化の違いより、目の前にいる「ライアンという個人」と向き合ってきた感じです。
2人が育った国も言葉も違う。でも、育った家庭環境は意外と似ていたりする。
だから私たちが向き合ってきたのは「国際結婚の壁」というより、「2人が育ってきた違いを、カップルとしてどう受け入れるか」という、どんな夫婦にもある話だったのかもしれません。
フィリピン人の恋愛はCheesy——それは確かです。でもそれがすべてのフィリピン人に当てはまるわけでも、すべてのカップルに当てはまるわけでもない。
結局のところ、相手はフィリピン人である前に、ライアンです。
ライアンの発言は会話をもとに再構成しています。

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