アマデオのキノコ農場「カブティハン・ファーム」――善意が育つ、ちょっと不思議な場所

アマデオのキノコ農場「カブティハン・ファーム」
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カビテ州アマデオに住んでいると、この町がコーヒー産地として知られていることはすぐわかります。でも、キノコ? と思う方も多いかもしれません。私もそうでした。ところが、ミナントク・ウェスト地区の一角に、キノコを軸に農業・食事・宿泊・祈りまでを一手に引き受けたような農場があるんです。


その名も カブティハン・ファーム(Kabutihan Farm)
タガログ語で「善良さ」「良いこと」を意味する名前です。
キノコは「カブテ」。言葉遊びの駄洒落が好きなフィリピンらしい名前です。


目次

カブティン・サギンとの出会い

私がここに通い始めたきっかけは、カブティン・サギンというキノコです。
タガログ語でサギンはバナナのこと。バナナの木の根元近くに生えることからついた名前で、日本語でいうオイスターマッシュルーム(ヒラタケ)にあたります。肉厚でクセがなく、炒めものでも汁物でも使いやすいんですよね。

初めて自生しているカブティン・サギンを見つけた時の話はこちら


カブティハン・ファームで売られているキノコの値段は 1キロ350ペソ。農場で直接購入できます。

買い方はシンプルで、「何グラム欲しい」と伝えると、スタッフが奥に引っ込み、その分だけ袋に詰めて持ってきてくれます。量り売りスタイルで、少量から気軽に買えるのが嬉しいところ。新鮮なものが手に入るので、近所に住む者としてはすっかり定番の買い物先になりました。

とれたての新鮮なキノコたち。
とれたての新鮮なキノコたち。

農場の全体像

敷地は 33,000㎡。2017年にリングゴ・アナカン氏が取得し、有機農業の拠点として整備を始めました。現在は農業にとどまらず、レストラン、礼拝堂、宿泊施設、イベント会場まで備える複合施設に成長しています。

運営母体は カブティハン・インコーポレーテッド(Kabutihan Incorporated) として法人登記済み。農業省・農業訓練研究所(DA-ATI)の認定を受けた 農業学習センター(LSA) でもあり、研修や農家支援の拠点としても機能しています。

敷地内の主な施設はこんな感じです:

施設内容
Fungi Al Fresco Restaurantキノコ料理中心のオープンエアレストラン
カブティハン礼拝堂 & イナ・ン・グラシャの祠高さ約9mの聖母マリア像がある祈りの場
マッシュルーム栽培施設本格的な栽培・研修設備(2025年完成)
スイミングプール & 宿泊施設家族滞在やリトリートに対応
カブティハイブハチの巣をモチーフにした個性的な宿泊棟
イベントパビリオン結婚式・企業研修などに利用可能

オーナーのリングゴ夫人のこと

オーナーのリングゴの奥様が相手をしてくれました。親切だけど、どこかミステリアスな方です。

一度、マッシュルームバーガーを注文したことがありました。フードを注文するか、別途50ペソ払うと施設内を案内してくれるという話だったので、バーガーを買って待っていたんです。が、リングゴさんはそれをすっかり忘れてしまい、そのまま有耶無耶に。

カブティンバーガーは単品だと149ペソ。セットだと215ペソ。
カブティンバーガーは単品だと149ペソ。セットだと215ペソ。

次に訪ねたときにその話をすると、「あぁ、好きに歩き回っていいよ」とあっさり。

実際、農場内はオープンスペースで、特に何も払わなくても自由に歩き回れます。礼拝堂も、巨大な聖母マリア像も、池も、動物のいるエリアも。「なんだ、最初からそうだったのか」と笑えるエピソードですが、このゆるさがカブティハン・ファームらしさでもあるなぁと思っています。


栽培場所を見学しようとしたら…

「キノコを育てているところを見たい」と申し出たときのことです。
オーナーの奥さんは少し間を置いてから、こう聞いてきました。

「生理はあるか?」

カブティンファームのオーナー夫人。

一瞬、何の話かわかりませんでした。「まだ閉経はしていませんが……」と答えると、残念ながら栽培室への入室は断られてしまいました。

昔ながらの言い伝えで、生理中の女性はキノコに悪影響を与える菌を持ち込むと考えられているんだそうです。

もっとも、その直後に作業員の方が普段着のまま、サンダル履きで室内にすたすた入っていくのを目にしました。防護服なし、手袋なし。「菌の混入を心配するなら、そっちのほうが……」と思わなくもなかったんですが、それを言うのも野暮というもの。田舎ならではの慣習を、旅人のような気持ちで受け止めました。

その代わりに、窓から中を覗かせてもらいました

カブティン・ハウス(キノコのおうち)と書かれた看板がみえる。

暗い室内に白いキノコがびっしりと並ぶ様子は、それはそれで見ごたえがありましたよ。

キノコ菌が熟成中

もう一件のキノコのおうち。こっちはもっと真っ暗です。

施設の中の世界観

農場の中を歩いていると、カラフルで賑やかな独特のデコレーションが目に入ります。

顔が出るべき穴のくりぬき部分が、どのモチーフともあってないけど、気にしません。
後ろの小人たちの目が笑っていません。コピーライトは当然無視です。
奥にそびえ立つマリア像。かなり急な坂の上にあり、行く気がしません。
奥にそびえ立つマリア像。かなり急な坂の上にあり、行く気がしません。

巨大なマリア像、小人の置物、派手な色遣いのメッセージボード……。

植物の影から突然現れる磔キリスト像。結構デカくてびっくりします。
植物の影から突然現れる磔キリスト像。結構デカくてびっくりします。
「人生はゲーム。でも不公平だ。」
突然こんなこと言われても…というメッセージ。
とりあえず、ここに連れてきた家族や友人たちは立ち止まって声に出して読みます。
「人生はゲーム。でも不公平だ。」
突然こんなこと言われても…というメッセージ。
とりあえず、ここに連れてきた家族や友人たちは立ち止まって声に出して読みます。

宗教的なモチーフと農村のエネルギーが混在する空間は、フィリピンの地方らしい生命力に満ちています。
そして至るところにキノコのモチーフ。

ここがマッシュルーム農場であることが、否応なしに伝わってきます。


食べる・泊まる

レストラン「Fungi Al Fresco」では、キノコをふんだんに使ったファームトゥテーブルの料理が楽しめます。看板メニューのマッシュルームバーガーのほか、農場産食材を使った料理が並んでいます。

農場内では、こんなキノコ加工品も販売しています:マッシュルーム・チプチャロン(スナック)、マッシュルーム・バゴオン(発酵風調味料)、チリガーリックマッシュルーム、マッシュルームパティなど。

宿泊は 1泊750ペソから。スイミングプール付きの施設や、ユニークなハチの巣型ロッジ「カブティハイブ」も選べます。

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