フィリピン不動産投資:中古コンドミニアムを買うメリット・デメリット・注意点などを解説

フィリピンで中古コンドミニアムを購入
目次

はじめに

2020年のある日、私はマカティのボロいコンドミニアムで、じっと画面を見つめていました。

コロナ禍でほぼ引きこもり状態。仕事は在宅になり、外に出れば中国人と間違えられてトラブルになることもあって、なかなか気軽に出歩けない時期が続いていました。

そんな中でふと考えたんです。

もし急に仕事がなくなったら?病気になって家賃が払えなくなったら?

賃貸に住んでいる限り、最悪の場合は追い出される。「住む場所」という一番基本的な安心が、ふいに崩れるかもしれない。そのことが急に怖くなりました。

ケソンシティには、ライアンのご両親や親戚がたくさんいます。いざとなればお互いに助け合える距離感。それがすごく魅力的に感じました。

「この際、ケソンシティに自分たちの場所を作れないかな」

そう思って、以前私たちが住んでいたことのある建物、そしてライアンのご両親が今も住んでいるコンドミニアムの物件情報を何気なく調べてみたんです。

すると——激安になっていた。

しかも、実際に足を運んでみると、売り出しの張り紙すら出ていない隠れた空きユニットが、売りに出ていることがわかって。

「これは買うしかない。」

そう思って、私たちは中古コンドミニアムの購入を決意しました。

今回は、その体験を通して感じた「フィリピンで中古コンドを買うメリット・デメリット」と、「購入前に知っておくべきこと」を、実例とともに紹介します。


場所はマニラの北にある。ケソンシティ

私が購入したのは、マニラ首都圏の北にあるケソンシティ。不動産価格がマカティやBGCより安く、投資の初期コストが低いのが特徴です。

ケソンシティの特徴

教育・医療

  • フィリピン大学ディリマン校(UP Diliman)やアテネオ大学など、一流大学が集まる。
  • 大学病院や総合病院も多く、医療サービスの質も比較的安定。

経済・商業

  • IT企業やBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)企業が多数進出。
  • SMシティ・ノースEDSAやトライノーマ(Trinoma)など大型ショッピングモールがあり、商業の中心としても発展。

住宅・不動産

  • マカティやBGCに比べると不動産価格が比較的お手頃。
  • 賃貸需要が安定しており、学生・ビジネスマン向けの物件が多い。
  • 開発プロジェクト(新鉄道や高速道路Skywayなどの道路拡張)により、将来的な価格上昇・利回りの成長が期待されている。

アクセスとインフラ

  • MRT-3、LRT-2など鉄道の結節点。将来的に地下鉄(Metro Manila Subway)、そして隣町のブラカン州に建設中の新マニラ国際空港もあり、交通インフラの改善が進行中。

実際に私たちが購入した物件の概要

ユニットの広さ・価格・立地

私たちが購入したユニットは、5階建ての1階部分にあり、広さは43平米。首都圏では比較的ゆったりとした広さです。

建物自体にエレベーターはなく、高層階になると日常生活に不便が生じやすいため、むしろ1階の方が価値が高く評価されます。さらに、このユニットは「コマーシャルユニット」に区分されているため、居住用だけでなく商売に活用することも可能でした。

立地はケソンシティの一角で、ちょうど地下鉄駅の建設予定地やスカイウェイ入口の近く。交通アクセスの改善が見込まれるエリアであり、ゾーナルバリュー(BIRが定める土地評価額)も大幅に上昇した地域です。

年度RR(住宅)CR(商業用)コンドミニアム用区分
2020年頃約 4,750–6,500 PHP/㎡約 6,500 PHP/㎡RC:約 23,000、CC:約 39,000 PHP/㎡
2025年現在約 16,000–18,000 PHP/㎡約 21,000–55,000 PHP/㎡RC:約 55,000、CC:約 62,000-88,000 PHP/㎡

価格:2020年当時で150万ペソ。コロナ禍で多くの人々が資産を手放していた時代だったので、バイヤーとしてはラッキーでした。


中古不動産購入を決意した理由

新築にこだわらなくてもいい、という気持ちが私たちにはありました。というのも、最近の新しいコンドミニアムはどこも部屋が狭く、さらに私たちのように犬を4匹飼っていると、そもそもペット不可の物件が多いためです。

フィリピンの一般的な建物は、空洞コンクリートブロックを使った構造が主流で、その耐震性には不安が残ります。日本の投資家に人気のSMDCなどの大手デベロッパーによる建物も例外ではなく、実際に建設に関わった知人からは「安全性はほとんどゼロに近い。購入は避けた方がいい」と忠告を受けました。

その点、私たちが購入した物件は、こうした心配をすべてクリアしており、安心して選ぶことができたのです。

建物の構造

建物の構造は、コンクリートを流し込んだ完全なブロック造で、壁には空洞ブロックを一切使用していません。

ただ、フィリピンのような亜熱帯気候では、コンクリートを養生するのが難しいといわれています。そのため、どうしても表面に細かいひび割れが目立ったり、ペンキが剥がれやすかったりと、外観の見た目には影響が出やすいのです。

しかし、これは主に仕上げの問題であり、建物の強度や耐久性には大きな影響はありません。構造そのものはしっかりしているため、安心して暮らすことができると判断しました。


中古コンドを買う流れ|私たちの場合

フィリピンで中古コンドミニアムを購入する場合、新築のようにデベロッパーが手順を整えてくれるわけではありません。売主・買主・書類・役所——すべてを自分たちで動かす必要があります。

私たちの場合、頼りになる人物がいました。ライアンの父、つまり私の義父です。

不動産業のプロであり、さらにパラリーガル(法律補助士)でもある義父は、当時73歳。フィリピンではシニア手帳(Senior Citizen ID)を持つ高齢者は銀行や役所で優先レーンを使えるため、書類の処理がスムーズに進む場面も多く、「義父がいなかったらどうなっていたか」と今でも思います。

もし身近にそういった事情通の人がいなければ、信頼できる地元の弁護士かパラリーガルに依頼することを強くおすすめします。

ステップ1:物件の状態を確認する(内見)

私たちが購入したユニットは、元々インターネットカフェとして使われていた場所でした。ある程度リノベーションはされていましたが、細部を見ると電気スイッチが壁にめり込んでいたり、あちこちにガタがきている箇所がありました。

内見でチェックしたのは、主に以下の点です。

設備・構造

  • 電気系統(スイッチの状態・配線の劣化)
  • 水道(蛇口・水圧・排水の詰まり)
  • 壁・天井のひび割れや雨漏りの跡

生活環境

  • 日当たりの強さ(フィリピンの直射日光は強烈です)
  • プライバシーが守られる位置かどうか
  • 騒音レベル
  • 隣人の様子

ただし、内見よりも重視したのは書類の確認でした。

ステップ2:書類の確認(ここが最重要)

中古物件の購入で一番大切なのは「物件の見た目」よりも「書類が正しいかどうか」です。

① タイトル(CCT:Condominium Certificate of Title)

CCTとは、コンドミニアムの所有権を証明する公式書類です。タイトルに記載されているオーナー名が、実際の売主と一致しているかを必ず確認してください。名義が別人になっていたり、担保が設定されていたりするケースもあります。

② 管理費・税金の支払い状況

前のオーナーが管理費(dues)や固定資産税(Real Property Tax)を滞納していた場合、その負債が購入後に新オーナーであるあなたに引き継がれることがあります。売主に領収書の提示を求めるか、管理組合に直接確認しましょう。

ステップ3:価格交渉・売買契約

売主との価格交渉が成立したら、Deed of Absolute Sale(絶対売買証書) を公証人(Notary Public)の立ち会いのもとで作成・署名します。この書類が、フィリピンにおける不動産売買の法的根拠となります。

ステップ4:諸費用の支払い

売買価格のほかに、以下のような諸費用が発生します。

費用負担者(慣習)目安
Capital Gains Tax(CGT)売主売買価格の6%
Documentary Stamp Tax(DST)買主売買価格の1.5%
登記費用(Registration Fee)買主物件価格による
公証人費用(Notarial Fee)双方数千〜数万ペソ

※ CGTは本来売主負担ですが、「折半」や「買主負担」と条件をつけてくる売主もいます。誰がどの費用を負担するか、契約前に必ず確認してください。

私たちの場合は現金一括払いでした。諸費用の細かい手続きは義父が主導してくれたため、正直なところ私自身は全体像を把握しきれていない部分もあります。だからこそ、プロに任せられる環境を作ることの大切さを実感しました。


【実例・現在進行中】Pag-IBIGを使う場合は要注意

これは私の友人の話です。同じコンドミニアムの別のユニットを、Pag-IBIG(パグイビッグ基金)を使って購入しました。

ところが契約後、売主が「現在そのユニットを人に貸し出している」と言い出しました。そして今度はその借り手が「部屋を出ることを拒否している」と。

Pag-IBIGの法律では、借り手を強制退去させることが非常に難しいそうです。

結果として友人はお金を払い続けているのに部屋に入れない状態が、今も続いています。売主は借り手から家賃を取り続けており、この状況は現時点でも解決していません。

不動産のプロである義父に相談しても、「こればっかりはしょうがない」という答えでした。それほど、一度こじれると打つ手がないのです。

Pag-IBIGを使って購入する場合は、必ず事前に「現在入居者がいないか」「いる場合いつ退去するか」を書面で確認してください。 口頭の約束はフィリピンでは守られないことがあります。


ステップ5:タイトル(CCT)の名義変更

支払いと書類が揃ったら、Register of Deeds(登記局) にてCCTの名義変更を行います。ここで法律上の所有権が正式に移転します。

手続きには数ヶ月単位の時間がかかることも珍しくありません。焦らず、書類の不備がないよう丁寧に進めることが大切です。

ステップ6:引き渡し後の手続き

名義変更が完了したら、以下も忘れずに。

  • Meralco(電力会社)の口座名義変更
  • 水道局への届け出
  • 管理組合への新オーナー登録
  • 固定資産税(RPT)の名義変更

中古コンド購入のデメリット

もちろん、中古物件ならではのデメリットもあります。しかし、フィリピンで言えるのは、新築でも中古と同じトラブルが十分起こりうるということです。あまり神経質になってはいけませんが、以下のポイントを押さえておくといいでしょう。

管理の不十分さ

中古で、安普請のコンドミニアム住宅を買うと、メンテナンスが行き届いていない場合があります。

隠れた箇所にあるパイプの水漏れ、水詰まり、換気の悪さなど、購入前にしっかりチェックすることをお勧めします。そして、それらの修繕費が、大概の場合はオーナーであるあなたが支払うことになるので、それも予算に入れておくといいでしょう。

私が購入した部屋も、メンテナンス要員が常にいる場所ではありますが、なかなか積極的に修理箇所を見つけて対処してくれようとしません。根気強く修復をお願いする必要があります。

インフラの不安定さ

一番困ったのは乾季の間に続いた断水です。これは中古物件に限った話ではありませんが、毎年水不足が深刻化しているマニラでは、地域によって水の配分が後回しにされることがあります。

きついのは1日に6時間〜12時間、時と場合によっては2日水がない時がありました。現在は改善されているそうですが、この辺りの状態もすでに住んでいる人たちに事情を聞くことをお勧めします。

支払い方法(現金一括など)

中古では、大概現金一括で支払われることが求められます。

Pag-IBIG(パグイビッグ基金)を使う場合の注意点については、上の購入プロセスのセクションで実例とともに詳しく紹介しています。

注: フィリピン人または永住権を持つ人(13G、13Aなど)が対象という情報がありますが、2024年にPag-IBIG事務所に行って問い合わせをしたところ、「外国人はどのビザを持っていても利用はできない」と言われました。


まとめ:それでも、買ってよかったと思っている

中古コンドを買うと決めたあの日から、5年が経ちました。

断水と格闘し、管理会社に根気強く修理をお願いし、書類のことは義父に頼りっきりで——正直、「不動産オーナー」という言葉から想像するような、スマートな体験ではありませんでした。

でも、買ってよかったと思っています。

コロナ禍に感じた「いつ追い出されるかわからない」という不安は、あの購入で消えました。それだけで、十分な理由だったと今でも思います。

フィリピンの中古コンドは、数字だけ見ればお買い得に映ることも多いです。でも、書類の落とし穴、管理費の滞納の引き継ぎ、Pag-IBIGを巡るトラブル——実際に住んでいる人の話を聞かないと見えてこないリスクがたくさんあります。

「足を使って、すでに住んでいる人に話を聞く。」

これが、私が一番お伝えしたいことです。

📌 あわせて読む:フィリピンでコンドミニアムや土地を買う前に知っておくべきこと


Kumiko Sato
✍ Author
Kumiko Sato

フィリピン在住の日本人ブロガー。文化・食・日常生活をテーマに、日本とフィリピンのあいだにある歴史や文化のつながりを紹介しています。
フィリピン人の夫とカビテ州アマデオで暮らしながら、海外生活のリアルを記録しています。

→ プロフィールを見る
人気ブログランキングでフォロー フィリピン(海外生活・情報)ランキング
フィリピン(海外生活・情報)ランキング Pinas Hapon Life|フィリピン生活記 - にほんブログ村 にほんブログ村 海外生活ブログ フィリピン情報へ
にほんブログ村
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次