フィリピンの「Low-Cost Kapon」とは? 犬猫の去勢手術を650ペソで受けられる“現場の実情”

フィリピンの低価格でできる去勢手術をのぞいてみた
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フィリピンでは、飼い主のいない犬や猫が多く、
地域ごとに「Low-Cost Kapon(ローコスト去勢・避妊手術)」という活動が広がっています。
これは、限られた資源の中で動物たちの繁殖を抑え、
野良犬・野良猫の命を守るための地域主体の取り組みです。

今回私は、その現場の一つを実際に訪れ、
保護した犬とともに手術の様子を見学しました。

そんな中で見つけたのが、Paws Friend Low-Cost Kapon

Paws Friend Low-Cost Kapon

「Paws Friend Low-Cost Kapon」は、フィリピン・ヌエヴァ エシハ州ガパン市(Gapan City)にある「Gapan Paws Pet Station」(「Pet Partner Philippines Inc.」が運営するペットステーション)で実施されている、比較的低価格のペットの避妊・去勢手術を目的としたイベント・サービスです。

今回は、実際に現地へ赴き、保護犬とともに参加してみた様子を記録します。

この記事は、そのときに感じたことや、
通常の動物クリニックとの違いをまとめた記録と考察です。
一部ショッキングな描写も含まれますが、
現場で行われている実情をありのまま伝えることで、
「命を守る活動の裏側」を知ってもらえたらと思います。

去勢のことを、タガログ語では「カポン(Kapon)」と言います。

この度、実際に会場に出向き、保護した犬と一緒にその全貌を見ることができました。

通常のクリニックでの去勢手術と、この低価格去勢手術(Low Cost Kapon)との違い、
そして、反省を込めて、考慮したいメリットと、見逃せないデメリットについて書きたいと思います。

目次

通常のクリニックと、Low-Cost Kaponの違い比較

一番の大きな違いは価格ですが、その他の違いにはどんなものがあるでしょうか?

スクロールできます
動物病院低価格カポン
手術代6,000ペソ〜650ペソ〜2,000ペソ
施術の方法手術室でプライベートに行われる不特定多数の犬猫を、多目的施設でパブリックに行われる
手術前の検査必須任意
薬の種類痛み止め、抗生物質、腎臓保護薬なきず薬など複数痛み止めのみ
アフターケア来院して術後のチェックを受けるFacebookのメッセンジャーで質問受付あり
薬の処方箋ありなし

動物病院は、術前検査を義務つけられており、検査で引っかかった場合は手術の延期、治療を優先されます。

低価格カポンだと、術前検査はなくてもOK。
ただし「手術後の異変など起こりうる事に同意してください」という説明を直前に受けます。

低価格去勢手術サービス「ローコスト・カポン」の流れ

STEP
ソーシャルメディア上で場所と時間を確認

開催地や日時はFacebookで告知され、オンライン予約(₱200)またはウォークイン(₱300)が可能です。
ただし「予約優先」と書かれていても、実際にはあまり区別はなく、順番待ちが長時間に及ぶこともあります。

STEP
オンライン予約をする(省略可)

STEP1にあるソーシャルメディアから、登録フォームに進みます。

オンラインで予約金を払います

手術代とは別に、予約金、または入場費を支払うことになります。

オンラインでの予約金だと200ペソ
予約なし(ウォークイン)だと300ペソ

「オンラインで予約した人の方が優先して施術がされる」と記述で、事前予約を勧められます。

STEP
会場に向かい、書類にサイン、手術代を支払う

時間よりも結構前に会場に到着していたほうが良さそうです。

私たちはスタート時間の30分前に到着しましたが、たくさんの人たちが順番を待っていました。

飼い主名・住所・ペット情報などを記入し、免責同意書にサイン。
その場で手術代を支払います。

STEP
順番が来たら、麻酔 ⇨ 手術 ⇨ 麻酔から覚めるまで待つ

この順番を待つのがすごく辛い。私たちの場合2時間待たされました(事前予約したのに!)。
脳みそが溶けそうになるのを我慢しながらじっとそこで待機。

やっと名前が呼ばれて、お医者さんや助手の人から以下のことを伝えられます:

  • 血液検査を受けたかどうか
  • 不測の事態が起きても、緊急処置はできない旨を伝えられる(!)

目の前で犬猫に麻酔をかけられ、ぐったりしたところを処置室(テント)に連れて行かれ、手術開始。

終わったあとはテントから出され、起きるまで床の上に置かれます。

STEP
麻酔から覚めたら帰宅

飼い主は痛み止めを購入して帰宅します。
処方箋の発行はなく、抗生物質も勧められませんでした。
中には術後の炎症を起こし、後日別クリニックで治療が必要になるケースもあります。

ここで気をつけたいのは、薬の購入時に処方箋を発行してくれない点。きちんとした方法で薬を出してくれません。

また、切開手術後に必須である抗生物質を勧められなかったこと。
このせいで、後日患部が炎症を起こしてしまうケースも少なくありません。

ローコストカポンで処方(?)された痛み止め。
現地で買い求めるように指示された痛み止め。
処方箋はなしで、一日0.6mlを50日間続けて投薬するようにとの指示でした。

野良犬、野良猫のTNR=Trap‑Neuter‑Returnに近い状態を実現させるには良いサービスかもしれませんが、自宅で飼っているペットには適しないかも。

🧬 術前にできる準備

血液検査は義務ではないものの、できる限り受けておいた方が安全です。
最低限、以下の検査が推奨されます:

  • CBC(全血球計算):₱650〜₱1,200
  • 血液化学パネル(BUN・CREA・ALTなど):₱3,000前後

短頭種の犬(パグなど)は、特に手術前の検査をしておくことが望ましいです。

実際のローコストカポン(合同避妊手術)の様子

低価格で行われる去勢手術は、不特定多数の犬猫が集められ、合同で行われます。

私たちが行ってみた場所はFora Rotunda Tagaytay という、タガイタイの中心部にあるショッピングモールです。

Fora Tagaytayでの合同去勢手術の様子

中にまとめられているのは空のクレートと…術後でまだ意識のない猫たちが安置されています。

寝かされている猫たちの様子。舌が出て目が開いた状態なので、かなりショッキング。

模造紙の上に次々と並べられる猫たち。何だかブラックマーケットにいるような気分になります。
手前の猫は、麻酔から覚めたばかり。まだぼーっとしていました。

後ろに見えるテントが手術を行う場所。簡易手術室。

後ろに見えるテントが簡易手術室。
去勢手術に特化した場所なので、そのほかの対処ができるようにはなっていません。

起き上がってから、何か特別説明があったり、手術をした証明書や、薬の処方箋と説明などを待っていましたが、それらは一切なし。

結局起き上がって、その場にいた職員に帰ってもいいかと聞き、なんとなく解散をした形で終わりました。

手術その後:睾丸が腫れ上がってしまった

術後。睾丸がパンパンに腫れ上がってしまった。

術後3日目。膿みなどは出ていませんでしたが、急にボコっと腫れ上がり、別クリニックに行くと、炎症とそれからくる感染症になっていました。抗生物質14日間、レーザー治療を5日間受けることに。

クリニックに行くと、同じ時期にカポンを受けたであろう患畜を見かけました。

担当獣医師に聞くと「カポンサービスを否定するわけじゃないですが、最低限のことしかしないこともありアフターケアがきちんと行き届かないことがあるので、できれば検査をきちんと受けてうまくサービスを利用するといいと思います」とのことでした。

🔍 まとめ:安さの裏にあるリスクと、選択の基準

ローコスト・カポンは、野良犬・野良猫の繁殖を抑える上で非常に意義のある活動です。
特に、保護活動や地域TNRの観点から見れば、多くの命を救う現実的な手段です。

しかし、自宅で飼っている犬や猫に対しては慎重な判断が必要
検査・薬・アフターケアが簡略化されているため、体調や持病を見逃すリスクがあります。

  • 飼い犬・飼い猫:信頼できる動物病院での手術を推奨
  • 野良犬・野良猫:ローコスト・カポンやTNRを活用し、可能なら術前簡易検査を実施

命を預ける以上、価格だけでなく、安全・衛生・術後ケアの視点からも
ベストな選択をしていきたいものです。

🐾 補足コラム:TNRとは?

TNRとは、Trap(捕獲)– Neuter(去勢・避妊)– Return(元の場所に戻す)の略。
飼い主のいない犬や猫を保護し、繁殖を防ぐために手術を行ったあと、
元の地域に戻すという活動のことを指します。

フィリピンや日本をはじめ、世界中でこの取り組みが広がっており、
野良動物の数をコントロールし、
殺処分や病気の拡大を減らすための現実的な方法として注目されています。

TNRの目的は、「生きる場所を奪うことではなく、共に生きられる環境を整えること」
地域住民・自治体・ボランティアが協力し、
給餌や見守りを行いながら「地域猫」として共存していくスタイルが理想とされています。

🏥 フィリピンで活動する主なローコスト・カポンプログラム

フィリピンでは、動物保護団体や地方自治体が中心となって
「Low-Cost Kapon(低価格去勢・避妊手術)」を定期的に実施しています。
以下は主な団体と特徴の一覧です。

団体名主な活動エリア特徴
PAWS(Philippine Animal Welfare Society)ケソン市(Metro Manila)無料/低価格でのTNRプログラムを実施。収入の少ない家庭にも開放。予約制。
CARA Welfare Philippinesマニラ首都圏全域保護猫を中心に手術・ワクチン・医療支援。術後フォローあり。
Gapan Paws Pet Station(Paws Friend Low-Cost Kapon)ヌエヴァ・エシハ州、タガイタイなどイベント形式で各地を巡回。予約不要の回もあり、費用が比較的安い。
Pawssion Projectブラカン州、バコロドなど保護施設併設。無料去勢イベントや教育活動を展開。

これらの団体の活動により、地方でも「手の届く価格」で
動物たちの去勢・避妊を進められる環境が少しずつ整いつつあります。


一方で、術前検査やアフターケアを行うかどうかは団体によって差があるため、
参加前にガイドラインをよく確認しておくと安心です。

Kumiko Sato
✍ Author
Kumiko Sato

フィリピン在住の日本人ブロガー。文化・食・日常生活をテーマに、日本とフィリピンのあいだにある歴史や文化のつながりを紹介しています。
フィリピン人の夫とカビテ州アマデオで暮らしながら、海外生活のリアルを記録しています。

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