この記事は、海外在住で英語を使った副業を考えている方、または国内にいても英語を活かして働きたいと思っている方に向けて書きました。TESOLって何?取る価値ある?フィリピンで取るのはどうなの?という疑問に、体験談ベースで答えます。
TESOLとは?
TESOL(テソル:Teaching English to Speakers of Other Languages)は、英語を母国語としない人に英語を教えるための知識やスキルを学ぶ分野、または関連資格のことです。提供する認定機関はいろいろあって、世界的に知名度が高く、英語を教える仕事を目指す人によく知られている資格。採用時の条件としてリストされたり、TESOLがあれば大きなプラスになることも。
二人とも、大学を出ていない
実は私もライアンも、大学を中退しています。
ライアンの場合は、大学在学中からすでに英語教師として平均以上の額を稼いでいました。現場で教えながら、大学で学ぶ英語教育理論が「実態と全くかけ離れていてアホらしく」、「学費を払う意味がない」と感じるようになっていった。フィリピンでは大学卒じゃないと就職や転職が難しい。それを知るお母さんが止めるのを押し切って、学校をやめました。
私はというと、美術系の学校だったし、英語教育のバックグラウンドもキャリアも全くありません。ただのフィリピン在住の日本人妻です。
そんな二人が、なぜTESOLを取得したのか。
きっかけは「日本移住計画」だった
2016〜2017年当時、私たちは日本に移住することを本気で考えていました。
英語の先生は星の数だけいる。4年大学を卒業してもなんのバッチにもならない。
そんな時に、日本のサイトをみていたら、フィリピン人講師が教える英会話学校が東京にあって、「TESOLという国際資格を持つトップクラスの先生たちです!」とかなり押し出したマーケティングをされてたんです。
授業やフィリピン人教師たちの様子を見たんですが、正直、ライアンの方がずっといいじゃないか、と思った。それがきっかけでした。
大卒でない分、何か資格があれば英語教師として仕事しやすいはず——
ライアンが、Facebookで見つけてきたのがAmerican TESOL Institute Philippines(Shaw Boulevard, Pasig)です。まず自分で受講して、取得後に私にも勧めてきました。
「夫婦で持っておけばさらに強みになる」と。
私は英語の先生になるつもりはないんだけど
確かに「いいなー。わたしもとれたらいいなー」と軽く冷やかした発言はしたんですが、ライアンに真顔で「取得しなよ、絶対いいよ!」と勧められたんたんです。
そのうちだんだん戸惑いはじめました。英語教師でもなんでもない私が受けていいものなのか。他のちゃんとしたキャリアを持つ先生たちの冷やかしになりはしないか、と。それから正直「ちょっと面倒だな、週3で通うとか…」とも。そこまで英語教育に興味があるわけでもない。
でもライアンに「情熱とかそういうんじゃなくて、やるかやらないか、だよ。何があるかわからない将来のためだよ。」と言われて、申し込みをしたのでした。2019年のことでした。
マカティからパッシグまでバスで通う
通学はマカティからバスでPasigのパイオニアまで。そこからスクールまでは結構歩くんですが、ライアンが毎週一緒に来てくれました。学校はまとものな歩道がない、忙しないショーブリバード(shaw boulevard)というハイウェイの脇に立っています。道が危ないのはフィリピンのデフォルト。ライアンが付き添ってくれてよかった。実際、二人でぶらぶら歩くのが楽しかった気がします。気になるレストランを見つけては「帰りに食べて帰ろう!」と言いながら。寄り道しながら学校に行ってました。
TESOL授業の中身:先生より生徒の方が経験豊富だった
当時の私のクラスは5人の女の子。外国人は私だけで、他は全員フィリピン人の現役英語教師たちでした。
最近は20人以上人数が集まらないと対面授業はされないそうですが、2019年は少人数でもやってくれたんですよね。
授業の内容は英語力よりも「教え方」がメイン。生徒との接し方、授業の進め方、教育理論が中心です。当たり前ですが英語が話せることは前提で、特に問われませんでした。私みたいな人間でも問題なかったので、わりと門戸は広い印象です。
たまにライアンが教室に傍聴生の如く、入室することもありました。おかしいんですけど、先生も普通に許可してくれて。
ライアンもたまに遠慮したり、入れてもらったりしてました。
面白かったのは、現役教師の生徒たちの方が、講師より経験が豊富で発言がアグレッシブだったこと。この辺はフィリピンならではなのかな?やっぱり現役の先生が生徒としてきてるから、だまって講師の言うことを聞くだけにはなりませんでした。
お給料は私立より公立の方がずっと高いし!
わたし公立でしか教えたくない
※ドゥテルテ政権時代で、教師と警官の給料が倍になった
アメリカ英語を基本に教えようとする風潮があるけど、それってアメリカのどこ基準よ?ってはなしで。言語って結局文化を教えることでもあるから、ピノイの私たちがカルフォルニア訛りにさせてもちょっと違うじゃない?…っていうか一般的な英語ってそもそも何w
英語ってイギリスが元祖ですけどっていう
大きな子ども相手でも、教える時の声のトーンって結構大事だよ。セサミストリートですかって言われることあるけど、結局子ども飽きやすいからさ。机に座らせたままで授業終わらせるとかありえないよね。
私はセサミストリートばっちこい!って感じで、あえてちょっと大袈裟にやってる。
ライアンが飛び入りで発言したときも、場が一気に盛り上がりました。
韓国の親御さん、めっちゃ容赦なくない?子供の体調が悪そうだからキャンセルしたら?って言ったら、『うちの子が授業中に死ぬのであれば、それはその子の運命です』って言われた同僚いてさー。
全員「わーかーるー!!やばいよね!!」
私と講師の方と目を丸くするばかり。
授業論よりこっちの話の方がずっとためになりました。
結局、彼らはどうやって教えたらいいかはもう知ってるんですよね。当たり前です。
どうやっていろんな癖のある生徒と向き合うか、を知るべき。
その他、模擬授業をクラス内でやって、ディスカッションをしあう、という流れでしたね。
フィリピン人英語への偏見と、コールセンターの話
「フィリピン人の英語はよくない」「訛りがあるからアメリカ人には及ばない」
授業中に話題になったのが、「フィリピン人英語はよくない、アメリカ人やイギリス人と話したい」という偏見についてです。
しかし、先ほどのクラスメイトの会話にもありましたが、なぜ英語学習者たちは「アメリカ英語」に固執をするのでしょう?アメリカの若者が使う限定的なスラングを覚えるよりも、それよりもさまざまな訛りに対応できる耳が必要だし、なにより、失敗を恐れず、英語という言語の背後にあるカルチャーをものにできるかどうかがもっと重要なんです。
フィリピン人、世界にどれくらいいると思ってるんですか。英語を話すと言うことは、彼らを含めたいろんなバックグラウンドを持つ人たちと会話をすると言うことなんです。
フィリピン人は各国を渡り歩く、コミュニケーションのお化け…いや達人たち。
彼らの訛りを気にするのは、私にしてみたら全くナンセンスで、それよりも恥ずかしさをすてて彼らの心意気も含めて学ぶところはたくさんあるはず。言語は結局コミュニケーションツールにすぎないのですから。
コールセンターで副業をする子もクラスにいて、こんな話をしてくれました。フィリピンではアメリカ英語で話すよう訓練されることが多く、「center」を「センター」ではなく「セナー」と発音するように教えられる。それでも完全に訛りをなくすことはやっぱり難しい。
「あなたみたいな訛りのきつい人とじゃ話にならない、白人に変わってよ」と罵られて…
もうそこでブチーンとキレたわけよ。お前こそさっきから文法めちゃくちゃな英語をつかってる癖に、と思って。明らかに私がピナイだから言いがかりつけてるんじゃん。
「申し訳ございません、それではあなたがご希望する白人のアカウントに回しますのでしばらくお待ちくださいませ」っていって
スペイン語オンリーのスタッフに繋げてやったよ!!
ペナルティ受けたけど後悔は全くしてない——と怒りで唇を振るわせながらいうクラスメートの話に、私たちはもう爆笑しながら拍手で褒め称えたのでした。
みんないろんな思いをしながらやってきているんだな、と感じた瞬間でした。
TESOLという「看板」のカラクリ
ここで少し正直な話をします。
はっきり言って。TESOLは、実績がなくても取れてしまう資格です。私がその証拠です。でも「TESOLホルダー」という肩書きがあるだけで、世間からの見られ方が変わるのも事実。ライアンにとっては、実力を証明するマーケティング材料として機能しているのは確かです。
フィリピン人の英語教育は「安価で質が低い」という評価をネットで見かけることがあります。でもそういう偏見が存在する世界で、TESOLという看板が一つの武器になっているのも現実です。
そういえば、あのスクールに一人だけ初老の白人男性がいました。教えるわけでもなく、ただ受付に座っているだけ。卒業セレモニーの写真撮影のとき、面倒くさそうに出てきて一緒に写真に収まって、それだけ。
でもきっと彼がいることで「ちゃんとしたスクールだ」と思う人がいるんだと思います。「白人=英語すごい=信頼できる」というイメージの使われ方を、そこでもまざまざと見た気がしました。
費用と期間
- 期間:10日間、週3回
- 授業料:20,000ペソ(現在)
参考までに、他の地域でのTESOL取得費用と比較するとこうなります。
| 取得場所 | 費用目安 |
|---|---|
| フィリピン(対面) | 20,000ペソ≒約55,000円 |
| アメリカ・対面コース | $1,500〜$2,500(約22〜37万円) |
| オンライン(海外各社) | $200〜$500(約3〜7万円) |
| アメリカの大学付属プログラム | $2,025〜(約30万円以上) |
フィリピンで対面取得するのは、アメリカの対面コースと比べると10分の1以下です。韓国や中国から英語を学びにフィリピンへ来る人が多いのも、こういった価格面の理由が大きいと思います。
私が通った2019年当時はオンラインはありませんでしたが、現在American TESOL Institute Philippinesはオンラインコースもあるようで、15,000ペソ、一括払いなら10,000ペソとのこと。オンラインコースですので、日本在住の方でも受講できます。フィリピンまで来なくても、アメリカの対面コースより大幅に安い価格でTESOLを取得できる可能性があります。ただしFacebookページの更新が止まっているので、最新情報は直接問い合わせてみてください。
フィリピンのTESOL・TEFLスクール
| スクール | 場所 | 特徴 |
|---|---|---|
| American TESOL Institute Philippines | Pasig(Shaw Blvd) | 私たち夫婦が通ったところ。 対面・オンラインコース |
| TEFL Institute of Manila | オンライン中心 | 国際認定・政府規制レベルの資格 |
| ESLplus | バギオ・ラグナ・マニラ | 複数拠点あり |
| Harvest Christian School International (HCSI) | セブシティ | 2004年から運営・TESDA認定・オンラインあり |
| DLSU-Dasmariñas | カビテ | 大学附属・120時間コース |
| International Academy Manila | ケソンシティ | 対面コース |
TESOLに有効期限はある?
結論から言うと、基本的にありません。一度取得したら生涯有効とされています。
私自身、取得からすでに数年が経ちますが、資格としての効力は変わりません。「いつか使おう」と思ったまま持ち続けていても問題ないのは、正直助かっています。
ただし発行機関によって異なる場合もごく稀にあるので、気になる方は取得先に確認してみてください。
TESOLを取って実際どうだったか
ライアンの英語はネイティブよりもネイティブで、きちんとした教育を受けた人のものです。夫だから言うわけではなく、本当にそう思っています。TESOLという資格が、その実力を証明する一つの材料として機能しているのは確かです。RareJobでの採用もスムーズだったと言っています。
正直に言うと、私自身はまだこの資格を活かせていません。一度オンラインで教えようとしたこともあったけれど、仕事が忙しくなってそれっきり。
でもTESOLに有効期限はないので、いつか「取っておいて良かった」と言えるようになりたいと思っています。現役教師のクラスメートたちと一緒に授業案を考えて発表し合ったあの経験は、資格とは別の意味で本当に良かった。あの教室で起きたことは、ずっと覚えていると思います。
最終日のペルシャ料理屋さん
修了した日、通学中に見つけていたペルシャ料理屋さんで、ライアンと二人でご飯を食べました。
「これから日本でがんばろうね。英語を種にしてなんとか食べていけるようにしよう」
そんな話をしながら。
——でもその後、私のフィリピンでの就職が決まって、日本移住計画はそのまま流れました(笑)。
人生、計画通りにはいかないものですが、知識と経験、そして資格をもてたことは後悔なしです!

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