フィリピン刑務所で生まれる“獄中婚”って?近所さんの衝撃体験

フィリピンの刑務所で行われる同性婚
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最近のニュースでは「ルフィ事件」で日本人がフィリピン刑務所に拘束され、メディア記事として大きく報道されました。でもご近所さんが捕まったという経験は初めて!

イーサン君のご両親が私に「息子のお尻が心配」と真顔で言われ、反応するのにちょっと時間がかかりましたが、これが刑務所の多くを語るキーワードとなるのでした。

目次

まさかの逮捕と収容生活

近所に住むイーサン君(仮名)が、釈放されたとの噂はすぐに耳に届きました。

実は彼、数年前に思わぬ事件で逮捕され、フィリピンはマニラの刑務所に収容されていました。友人に頼まれて男性を紹介しただけなのに、その後女性が被害を受けてしまい、強姦補助の罪で裁判にかけられたとのこと。

久々に会った彼は痩せこけた体で、元受刑者らしい雰囲気。

それでもあまり深く考えてないような飄々とした感じはそのままで、

「僕、刑務所でいい男と結婚したんよ」

…と爆弾発言!

一瞬こちらの思考が止まってしまいましたが、これにはきちんとした理由があったのでした。

刑務所の中で“結婚”?

フィリピンはカトリックの国なので、同性婚は法律で認められていません。なのに「結婚」ってどういうこと?

イーサン君によると、収容所の部屋では“獄中婚”が珍しくないそうです。

理由はシンプルで、自分を守るため。

中には「VIP」扱いの囚人がいて、所内の管理もお金次第で大きく変わるそうですが、多くの犯罪を犯した収容者たちに、そんなお金はありません。

世界最悪レベルの収容率

実際、フィリピンの刑務所・拘置所はめちゃくちゃ過密。

フィリピン刑務所・拘置所の収容率データ(最新統計)

フィリピンの刑務所・拘置所は、世界でも最悪レベルの過密状態にあります。

近年の統計データは以下のとおり。

対象施設/機関収容率・混雑率出典
全国 拘置所(拘置所)平均約 367%PhilStar (2023)
全国の 324/482 施設101〜2,927% の幅PhilStar (2024)
New Bilibid Prison(国立刑務所)定員 6,345人 → 実収容 約 29,204人(約 460〜500%Wikipedia
全国 拘置所 の 67.57%収容能力を超過GMA News (2024)
BuCor 公開資料(2024年5月31日時点)施設別の収容人数・面積データありBuCor 公式PDF

2021年 – 国立刑務所7ヶ所、拘置所433ヶ所、さらに37ヶ所の拘置所は「非稼働」

そして女性受刑者の割合は、たったの9.8%

身の保全のための同姓同士、つまり男性同士の獄中婚は自然な流れとも考えられます。

注釈
  • 「367%」は全国平均(COA報告)。
  • 「2,927%」は極端な例で、すべての施設がこの状態ではありません。
  • 刑務所(prison)と拘置所(jail)は管理主体が異なるため、混雑率の幅も大きいです。
  • データは2022〜2024年の最新公開情報で、今後変動する可能性があります。

1日の大半を部屋で過ごす囚人にとって、時間の感覚は数か月も年単位も曖昧になりがち。

こうした極端な環境が“獄中婚”という文化を生んでいるんですね。

お金があれば自由?なければ地獄?

イーサン君が語った所内の食事は「犬の餌よりひどい」。

貧しい囚人は石や爪が混ざった米を食べるしかなく、一方で裕福な受刑者はスマホや酒、外食、時には万ペソ単位でVIPルームを買うことすら可能。

つまり、お金次第で自由度も生活の質もまるで違うんです。

フィリピン社会を語るうえで欠かせないのが、家族第一の文化です。

週末には大家族が集まり、海外出稼ぎに出た人は仕送りを続ける。

この「家族優先」の価値観が、刑務所内では「パートナーを作り、身内として守り合う」という形に変化していると考えると、妙に納得できます。

血縁や性別を超えて「守ってくれる存在=家族」とみなす考え方が、フィリピンならではの文化なのでしょう。

フィリピンの婚姻制度と法律のギャップ

ここで、フィリピンの婚姻制度を整理しておきましょう。

  • 離婚は認められていない(世界でバチカンとフィリピンだけ)
  • 同性婚も認められていない
  • 婚姻を解消したい場合は「アナウメント(無効手続き)」
    • 数年単位で時間がかかる
    • 費用は20〜50万ペソ以上

つまり、イーサン君のいう「獄中婚」は法律的には存在しません。

それでも刑務所内で受け入れられるのは、法律と現実生活の大きな乖離があるからです。

フィリピン社会では、

  • 公的には禁止されていても
  • コミュニティ内の合意があれば「事実上の制度」として通用する

そんな柔軟さとしたたかさがあります。

イーサン君の“純愛”と経験

「純愛なんよ、ほんと男前で」と照れながら語るイーサン君。

旦那さんは今どこの場所にいるの?

パサイ市在住だとか。

ただ、刑務所での長い時間はやっぱり過酷で、彼が見せてくれた写真には痩せ細った囚人の姿がありました。

ご飯がまずいのも辛いけどー。お尻が痛いのはほんとマジで最悪だからー。

――そう話す彼の言葉は写真とは裏腹に、びっくりするくらい軽薄なのでした。

出所後はわずか1か月後にはリバウンドし、Tシャツからぽっこりしたお腹が見 えます。

「…早かった、って思ってるでしょ」と目を細めて笑う姿に、なんだかフィリピンらしい逞しさを感じました。

フィリピン生活者として感じたこと

このエピソードから学んだのは次の2つです。

  1. 刑務所でも「家族」が命を守る仕組みになる
  2. フィリピン婚姻制度(離婚・同性婚不可)と現実生活の間に大きなギャップがある

まとめ:フィリピンの婚姻制度と“獄中婚”の文化

今回の話から見えてきたのは、フィリピン社会の二面性です。

  • 法律上は離婚も同性婚も不可能
  • 現実には“獄中婚”のような文化が自然発生
  • 家族文化が命を守る仕組みに変わる

法律と生活が乖離する場面は、フィリピン生活では日常的に見られます。

今回のE君のエピソードは、その象徴のように感じました。

“結婚”という言葉ひとつをとっても、日本とは全く違う意味を持つ――

それがフィリピンという国で暮らす醍醐味かもしれません。

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