はじめに
「フィリピン人の夫とブルガリアへ観光旅行!」
夢のような計画が、実際には“ビザ大冒険”になってしまいました。
ブルガリア大使館も「どうしたらいいかわからない」と言うほどの珍しいケース。
国際結婚をしている方や、パートナーと海外旅行を計画している方にシェアしたい実録です。
フィリピンにブルガリア大使館は存在しない
マニラにブルガリア大使館はなく、あるのは「領事館」だけ。
しかもこの領事館はフィリピン人向けの窓口ではなく、ブルガリア人のためのもの…。
つまり私たちは「どこでビザを申請すればいいのか?」という疑問から迷走することになりました。
ブルガリア領事館への問い合わせはカオス
インターネットで調べると、領事館の名前は複数、電話番号は5件以上。
片っ端からかけても全然つながらない…。
次の手を考えなければ…とこのことは一旦おいておいて、仕事に戻った私。
パソコンで作業に集中していると、突然こんなテキストが届きました。
「ハロー!さっき電話取れなかったからまた電話してね!何の用?」
名前も署名もなく、完全にスパムのノリ。いつもなら無視するようなくだらない内容でしたが、なんとなく「どちらさんですか?」と一言返信して、また仕事に戻りました。
でも…夜になって、ハッと気がつきます。
もしかして、これが領事館からのメッセージだった!?
翌日ライアンが電話をかけると、出たのは横柄な女性。
昨日テキストメッセージでやり取りをした電話番号を伝えると態度が豹変し、
「あなたみたいな人がブルガリアに行けると思ってるの?」
「あんなに無礼な態度をとって、このままで済むと思わないでよね!」
と、ライアンを人格否定するような言葉を浴びせられました。
ただ、「どちらさんですか」って一言聞いただけじゃん!!しかも返事したのは私なのにー。
ショックで泣き崩れ、「私のせいでライアンが…」と責め続けることに。
当人は「まあまあ。誰に対しても丁寧に接しないとね。」
と、ものすごく真っ当なことを私に言って慰めてくれました。でもなんか人ごとなんですけど…!
「まあいいじゃん、行けなくても。こんな思いまでして、僕海外行こうって思わない。」
「頭を擦り付けて、お願いしないと入国できない所なんて、僕、いけなくても困らなんだよ。」
ブルガリア観光ビザに必要な書類一覧と取得の苦労
絶望の中で助けてくれたのは、ブルガリアに住む友人でした。
彼女が大使館に直接連絡してくれたことで、ようやく必要書類が判明。
つまり、フィリピン人が単独で観光旅行目的でブルガリアに入国するには、招待者であるブルガリア人がまず手続きをする必要があるのです。
ただし条件は本当に明確じゃない上にたくさんありすぎて…
- 招待状
- 友人との関係を証明する書類
- ライアンが私の夫である証明
- 友人の経済証明
この「書類の山」を揃えるだけで1ヶ月以上。
観光ビザを取るのに、ここまで大変だとは思いませんでした。
ベトナム・ハノイの大使館に出頭せよ
「さあ、いよいよ申請!」と思ったら、さらに驚愕の指示。
「フィリピンでは受け付けできません。ベトナム・ハノイのブルガリア大使館に出頭してください」
つまり、ビザを取るためだけに別の国へ渡航しなければならないのです。
飛行機代、ホテル代、犬を預ける費用…すべて含めると15万円以上。
国際結婚夫婦は、こういう時に「2人分」かかるのが本当に痛い。
予想外の結末:旅行中止
そして出発3週間前、私の肺が破裂。
またしてもストレス性の肺気胸になり、旅行はすべてキャンセル。
ライアンは「くみちゃんがいないならブルガリアに行く意味がない」と言ってくれましたが、
夢見ていたブルガリア旅行は一度も叶わないまま終わってしまいました。
なぜブルガリアは別のビザを要求するのか?
ここで少し背景を整理します。
ブルガリアとシェンゲンの特殊な立ち位置
- 2024年3月31日からブルガリアはシェンゲン協定に加盟しました。
- ただし「空路と海路のみ」で、陸路はまだ完全加盟ではありません。
フィリピン人がブルガリアに入国する条件
- 有効なマルチプルエントリーのシェンゲンビザを持っている場合
→ 追加のビザなしで入国可能。
ただし、一度はシェンゲン圏に入国している必要があります。 - ブルガリアの短期滞在ビザ(Type C)を取得する場合
→ シェンゲンビザがない人は必須。
ライアンは、まだEU加盟国への旅行をしたことがありません。シェンゲンビザがない状態の彼の場合、短期滞在ビザ(Type C)を取得する必要があったのでした。
この場合、隣国であるルーマニア、車移動ができる国でも、ライアンは入ることができないのです。
まとめると…
✅ マルチプルエントリーのシェンゲンビザがあれば入国可能
❌ シングルエントリーでは不可
❌ ブルガリアを「最初の入国地」にすることも不可
日本人とフィリピン人の差に愕然
日本人なら観光でブルガリアに行くのにビザ不要。
一方でフィリピン人は、書類地獄+大使館探し+他国での出頭…。
同じ旅行計画でも、国籍の違いだけでここまで条件が変わることに、本当に衝撃を受けました。
まとめ:フィリピン人がブルガリア旅行を考えるなら
今回の旅行は叶わなかったけれど、この経験を通じて「国籍の差がもたらす現実」を痛感しました。
最後に、これからブルガリア旅行を考えるフィリピン人や国際結婚カップルのために、学んだことをチェックリスト化します。
- ✅ シェンゲンマルチビザを先に取得しておくとスムーズ
- ✅ 招待状や経済証明など、第三者の協力が必要になる
- ✅ 申請はフィリピン国内でできない。他国大使館に出頭が必要。
- ✅ 国際結婚カップル、特にフィリピン人がパートナーだと、常に「2人分の費用」がかかることを想定して計画を
旅行は楽しいもののはずが、国籍の違いによってこれほどまでにハードルが変わるのは驚きです。
👉 あなたは、この扱いの差についてどう思いますか?
同じような体験をしたことがあれば、ぜひ教えてください。
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