はじめに
フィリピンで暮らすようになってから、「家を持つ」ということについて考える機会が増えました。
特にコンドミニアムは利便性が高く、セキュリティや立地条件によっては外国人にとっても安心できる不動産投資の選択肢です。近年、フィリピン不動産は人口増加や地下鉄や空港など、インフラ開発の影響で成長を続けており、東京などの国内市場と比較しても、価格の割に利便性が高いメリットがあります。
なぜフィリピンの中古物件を買おうと思ったのか?(動機・背景)
私が中古コンドミニアムを購入したのは、コロナ禍の2020年。
夫の両親が住むコンド内で、空き物件を偶然見つけたのがきっかけでした。値段は120万ペソ(当時の円換算でもかなりお得)、広さは43平米。聞いただけなら「お買い得!」と思えるユニットでしたが、契約までには多くの不安と検討があり、不動産のプロである義父の情報や、現地の声を頼りに判断しました。
購入後には、デメリットとも言えるトラブルがいくつも待っていたのも事実です。
今回は、その体験を通して感じた「フィリピンで不動産を買うときのメリット・デメリット」や、「購入前に注意しておくべき点」を、実例とともに紹介します。
実際に購入した物件の概要
場所はマニラの北にある。ケソンシティ
フィリピン不動産は、マカティやマニラ首都圏などの都市部だけでなく、リゾートエリアやasean圏全体からの需要も高まっており、海外不動産の中でも注目される存在ですが、私が購入したのは、マニラ首都圏の北にあるケソンシティ。不動産価格がマカティやBGCより安く、投資の初期コストが低いのが特徴です。
ケソンシティの特徴
- フィリピン大学ディリマン校(UP Diliman)やアテネオ大学など、一流大学が集まる。
- 大学病院や総合病院も多く、医療サービスの質も比較的安定。
- IT企業やBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)企業が多数進出。
- スタートアップも活発で現地雇用も活発。
- SMシティ・ノースEDSAやトライノーマ(Trinoma)など大型ショッピングモールがあり、商業の中心としても発展。
- マカティやBGCに比べると不動産価格が比較的お手頃。コンドミニアムから一軒家まで幅広い選択肢があり、投資家や日本人駐在員からも注目が集まる。
- 賃貸需要が安定しており、学生・ビジネスマン向けの物件が多い。
- 開発プロジェクト(新鉄道や高速道路Skywayなどの道路拡張)により、将来的な価格上昇・利回りの成長が期待されている。
- 不動産価格はマカティやBGCより2〜3割安い。
- 賃貸需要が強い:学生やビジネスマン向けに安定的。
- 利回りは平均5〜7%程度とされ、今後のインフラ開発で価格上昇の可能性も大。
- MRT-3、LRT-2など鉄道の結節点。将来的に地下鉄(Metro Manila Subway)、そして隣町のブラカン州に建設中の新マニラ国際空港もあり、交通インフラの改善が進行中。
- マカティやオルティガス、BGCへの通勤はラッシュ時に時間がかかるものの、道路整備や公共交通機関の拡充で利便性が向上している。
実際に私たちが購入した物件の概要
ユニットの広さ・価格・立地
私たちが購入したユニットは、5階建ての1階部分にあり、広さは43平米。首都圏では比較的ゆったりとした広さです。
建物自体にエレベーターはなく、高層階になると日常生活に不便が生じやすいため、むしろ1階の方が価値が高く評価されます。さらに、このユニットは「コマーシャルユニット」に区分されているため、居住用だけでなく商売に活用することも可能でした。
立地はケソンシティの一角で、ちょうど地下鉄駅の建設予定地やスカイウェイ入口の近く。交通アクセスの改善が見込まれるエリアであり、ゾーナルバリュー(BIRが定める土地評価額)も大幅に上昇した地域です。
年度 | RR(住宅) | CR(商業用) | コンドミニアム用区分 |
---|---|---|---|
2020年頃 | 約 4,750–6,500 PHP/㎡ | 約 6,500 PHP/㎡ | RC:約 23,000、CC:約 39,000 PHP/㎡ |
2025年現在 | 約 16,000–18,000 PHP/㎡ | 約 21,000–55,000 PHP/㎡ | RC:約 55,000、CC:約 62,000-88,000 PHP/㎡ |
価格:2020年当時で、150万ペソ。(当時の円換算でもかなりお得だった)
コロナ禍だったこともあり、多くの人々が資産を手放している時代だったので、バイヤーとしてはラッキーでした。
中古不動産購入を決意した理由
新築にこだわらなくてもいい、という気持ちが私たちにはありました。というのも、最近の新しいコンドミニアムはどこも部屋が狭く、さらに私たちのように犬を4匹飼っていると、そもそもペット不可の物件が多いためです。
フィリピンの一般的な建物は、空洞コンクリートブロックを使った構造が主流で、その耐震性には不安が残ります。日本の投資家に人気のSMDCなどの大手デベロッパーによる建物も例外ではなく、実際に建設に関わった知人からは「安全性はほとんどゼロに近い。購入は避けた方がいい」と忠告を受けました。
その点、私たちが購入した物件は、こうした心配をすべてクリアしており、安心して選ぶことができたのです。
建物の構造
建物の構造は、コンクリートを流し込んだ完全なブロック造で、壁には空洞ブロックを一切使用していません。
ただ、フィリピンのような亜熱帯気候では、コンクリートを養生するのが難しいといわれています。そのため、どうしても表面に細かいひび割れが目立ったり、ペンキが剥がれやすかったりと、外観の見た目には影響が出やすいのです。
しかし、これは主に仕上げの問題であり、建物の強度や耐久性には大きな影響はありません。構造そのものはしっかりしているため、安心して暮らすことができると判断しました。
中古コンド購入のデメリット
もちろん、中古物件ならではのデメリットもあります。しかし、フィリピンで言えるのは、新築でも中古と同じトラブルが十分起こりうると言うことです。あまり神経質になってはいけませんが、以下のポイントを押さえておくといいでしょう。
管理の不十分さ
中古で、安普請のコンドミニアム住宅を買うと、メンテナンスが行き届いていない場合があります。
隠れた箇所にあるパイプの水漏れ、水詰まり、換気の悪さなど、購入前にしっかりチェックすることをお勧めします。そして、それらの修繕費が、大概の場合はオーナーであるあなたが支払うことになるので、それも予算に入れておくといいでしょう。
私が購入した部屋も、メンテナンス要員が常にいる場所ではありますが、なかなか積極的に修理箇所を見つけて対処してくれようとしません。
根気強く修復をお願いする必要があります。
インフラの不安定さ
一番困ったのは乾季の間に続いた断水です。これは中古物件に限った話ではありませんが、毎年、水不足が深刻化しているマニラですが、地域によって、水の配分が後回しにされることがあります。
きついのは1日に6時間〜12時間、時と場合によっては2日水がない時がありました。現在は改善されているそうですが、この辺りの状態もすでに住んでいる人たちに事情を聞くことをお勧めします。
支払い方法(現金一括など)
中古では、大概現金一括で支払われることが求められます。
フィリピン人の場合は、フィリピン政府が運営する Pag-IBIG(パグイビッグ基金)と言う低金利の住宅資金支援制度が使用できますが*、これにも落とし穴があるので、これは次回記したいと思います。
*注:フィリピン人または永住権を持つ人(13G、13Aなど) が対象という情報がありますが、2024年にPag-IBIG事務所に行って問い合わせをしたところ、「外国人はどのビザを持っていても利用はできない」と言われました。
まとめ:フィリピン・マニラの不動産価格は上昇するばかり。できるだけ早めに購入を
いかがでしたでしょうか?
これからフィリピンの不動産に関心のある投資家や、日本人を含む海外在住者で不動産投資を検討している方の参考になれば幸いです。現地の市場や会社、サービス、利回りやリスクの考え方、さらには賃貸としての利用方法や今後の開発プロジェクトについても触れていきます。
年間を通じた動向を見ると、フィリピンの粗利回りは2025年第1四半期には全国平均で約5.12% 、メトロマニラ平均は約5.28%に達しています。中でもスタジオなどの小規模ユニットでは7%を超える利回り率も報告されています。また、一部の物件では10%以上の高利回りも実現されています。
もし具体的にフィリピン投資や事業への参加を検討される場合は、まずは気軽に問い合わせください。2024年、2025年以降も東南アジアの不動産市場は大きな成長が予想されており、今がまさに検討するタイミングかもしれません。
まずは不動産会社を見て回るのもいいかもしれませんが、実際に気になるところを足を使って歩いてみることをお勧めします!